全国から「明るい社会づくり運動」の会員が集結 さらなる展開を目指して

立正佼成会が協力団体として関わるNPO法人「明るい社会づくり運動」(明社)の「2018 全国集会in萩」が7月7、8の両日、山口・萩市にある萩本陣で開催された。2年に一回行われる全国集会は、運動の推進者が一堂に会し、情報交換や講演を通して研鑽(けんさん)を積み、さらなる運動の展開を目的にしている。今回は、西日本を中心とした記録的な豪雨の影響で交通機関が大きく乱れたため、参加者は例年より少ない144人となった。

当日は、萩市に伝わる県指定無形民俗文化財「お船謡」が披露された後、砂川敏文理事長が開会のあいさつに立った。砂川氏は、地域と協力しながら、明社の理念である人間尊重の精神に基づいて、それぞれの主義・主張を超え、人と人が信頼で結ばれる真に明るい社会を目指すことを改めて確認した。

続いて、『吉田松陰と門下生』をテーマに、萩市特別学芸員の一坂太郎氏による基調講演が行われた。

萩市特別学芸員の一坂太郎氏

一坂氏は、萩(長州)藩の兵学者であり、私塾「松下村塾」を主宰して、奇兵隊を組織した高杉晋作や初代内閣総理大臣の伊藤博文、陸軍創設者の山県有朋など明治維新に活躍した人材を育てた松陰の生涯を説明。「志を立ててもって万事の源となす 書を読みてもって聖賢の訓をかんがう(志を立てることこそ全ての源である。多くの書物を読み、聖人、賢人の教えを参考にして考えることが大事)」という松陰の言葉を挙げ、自らの損得勘定で物事を考えるのではなく、欧米列強から日本を守る志を持って常に行動した人物と話した。その上で、自分が何をすれば世の中の役に立つかを常に考え、志が定まっていたからこそ、人に慕われ、塾生にもその生き方が引き継がれたと述べた。

さらに、現代の政治家から「最近の若者は愛国心が足りない」という発言が聞かれるが、松陰は国を守るために重要なこととして、思いやりのある政治を意味する「仁政」を説いたと紹介。弱いものを助ける政治を行うことによって、人々は自然と国を大切にしようとし、愛国心が生まれると強調した。

翌8日には、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界遺産に登録されている松下村塾や、松陰神社などを見学した。なお、7日に予定されていた、明社が支援する認定NPO法人「日本国際ボランティアセンター」(JVC)による「ラオスに井戸を贈る運動」の実施報告は交通機関の乱れが影響し中止になった。