TKWO――音楽とともにある人生♪ ピッコロ・丸田悠太さん Vol.1
日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今企画の9人目に登場するのは、ピッコロ奏者の丸田悠太さん。音楽との出合いから、プロの演奏家を目指すきっかけを紹介する。
クリスマスコンサートでの衝撃
――丸田さんが音楽に初めて興味を持ったのはいつですか
小学2年生の時です。新潟市の出身ですが、近所の公民館で開催されたクリスマスコンサートに連れて行かれ、フルートの演奏を初めて聴きました。それはそれは透き通るような音色で、<なんて美しい音がする楽器なんだろう>と、幼心に感動しましたね。初めての体験でした。
後に母から聞いた話ですが、終演後、公民館を出た“丸田少年”は、「あの人と握手をしたい」と言って、再び中へと戻って行ったそうです。それまで、音楽なんて全く興味がなかったですから、よほど興奮したのでしょうね(笑)。その帰り道には、「あの楽器(フルート)がやりたい」と僕が言い出したそうです。そうした自分の言動は、もうとっくに忘れてしまっているのですが、あの日の演奏で感じた胸の高鳴り、そしてステージの風景は、今も鮮明な記憶として心に残っています。
実は、この時のコンサートでフルートを演奏されたのが、榎本正一先生でした。コンサートの翌月、母と共に再び榎本先生の演奏会を訪れて、レッスンをお願いしたところ、快諾してくださいました。フルートの音色に感動した夜から2カ月後には、憧れの先生から週に一度、レッスンを受けられるという機会に恵まれたのです。榎本先生は、一から教えてくださり、僕が恩師と慕うお一人です。
フルートに出合っていなかったら、今頃、僕は何をしていただろうか――。そう考えることが今もよくあります。そのたびに、あのクリスマスコンサートが人生を決め、僕を演奏家に導いてくれた始発点だったと思わずにはいられません。
――その後は順調に、フルートの練習に打ち込まれたのですか
実はそうではありませんでした。小学2年生でフルートを始め、中学校では吹奏楽部に入りました。毎週レッスンを受けているのだから、当然フルートのパートを割り振られると思っていたのですが、残念ながら僕はトロンボーンのパートになりました。当時、吹奏楽部には「男は黙って金管楽器」という暗黙の了解があり、必死のアピールもむなしく、トロンボーンを吹くことになったのです。そのことを榎本先生に伝えたら、意外にも「トロンボーンも面白そうじゃない! 他の楽器から学ぶことも多いから、やってみたらいい」という答えが返ってきて、背中を押されたのです。
この言葉に救われました。普通なら、「部活を辞めて、フルートのレッスンに集中しないか」と言いそうなものですよね。その励ましを胸に、部活ではトロンボーンを吹き、週に一度はフルートのレッスンを受けるという中学生活を送りました。