2017年末に宗教者が研究会議 『壁を越え、つながりをつくる――排除と孤立の時代に向き合う』テーマに

排除と孤立を深める世界の現状について、宗教者や研究者が議論

『壁を越え、つながりをつくる――排除と孤立の時代に向き合う』をテーマに、「第64回コルモス研究会議」が昨年12月26、27の両日、京都市内のホテルで行われ、仏教、神道、キリスト教などの宗教者、研究者ら約70人が参加した。主催は、「現代における宗教の役割研究会」(会長・大谷光真浄土真宗本願寺派前門主)。立正佼成会から、同研究会常任理事の川本貢市中央学術研究所所長、同理事会委嘱理事の庭野統弘学林学長が出席した。

近年、世界では経済成長が停滞し、紛争や格差による貧困から脱するため、移民・難民が急増している。同時に、こうした影響を受ける国では、社会への不満が増大し、扇動的なポピュリズムや自国第一主義が台頭している。民族、宗教、国といった違いを越え、排除や孤立することのない社会を築くため、今回の研究会が開かれた。

国際ラルシュ共同体の活動を紹介した寺戸氏

冒頭、専修大学の寺戸淳子講師が講演に立ち、国際ラルシュ共同体の社会運動を紹介した。同共同体は、テンプルトン賞を受賞したカトリックの思想家ジャン・ヴァニエ氏によって1964年に創設されたフランスの社会貢献団体。複数のホームで知的障害者と健常者が共同生活を送り、軽作業やケアなどでの触れ合いを通して悩みや悲しみ、喜びを分かち合っている。

寺戸氏は、「障害者も健常者も、人間は互いの弱さを開示することからコミュニケーションが始まり、共に生きる場が生まれる」とのヴァニエ氏の理念を説明。社会的弱者に対する偏見や差別を社会から取り除くには、両者が日常的に触れ合う機会(場)を確保し、理解を深めていくことが重要と訴えた。

 

【次ページ:増える在留外国人と宗教施設 新たな隣人を受容し、身近な交流を】