『南北コリアの分断と統一』テーマに 時事問題市民学習会
緊迫する北朝鮮情勢を受け、宗教者や市民の有志による「時事問題市民学習会」(主催・同学習会)が10月31日、東京・新宿区内の施設で行われた。『南北コリアの分断と統一』をテーマに早稲田大学文化構想学部の金敬黙教授が講演した。10人が参加。庭野平和財団が助成した。
朝鮮半島は1945年8月15日に、日本の支配から解放されたものの、その後、米ソ対立から大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が誕生。約300万人が命を落とした朝鮮戦争により、分断と対立の溝はさらに大きなものになり、現在に至っている。
講演の中で金氏は、分断の歴史を振り返り、韓国人の多くは現在も、朝鮮半島の民族は一つという意識を共有しており、政治家も将来的な南北統一を掲げていると説明。しかし、政治家が実際に統一を自ら実現しようとする動きは鈍く、南北統一の「キャッチフレーズ化」が進んでいると指摘した。加えて、両国は、それぞれ全く異なる社会・経済・教育システムを構築し、生活水準の格差は広がり続けているため、統一に向けては、克服すべき課題が多いとの見解を示した。
このほか、韓国社会の価値観にも言及。長年にわたる北朝鮮との緊張関係や徴兵制度により、力で他者を制する価値観が社会に根付いているとし、平和的解決を考える上での阻害要因となっていると語った。
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