一食運動50周年記念 聖エジディオ共同体 来日特別企画を開催

13日の報告会では、ムクワパタ氏(右から2人目)とサンガレ氏(3人目)が、事業内容や支援先の状況、受益者の思いなどについてスピーチした

本会一食(いちじき)平和基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)と、パートナー団体である聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体=本部・ローマ)による来日特別イベント「心つながる」が、9月13、14の両日に開催された。

この取り組みは、マラウイでの一食支援事業の報告や受益者との交流を通して相互理解を深め、思いやりの心を育むとともに、浄財が現地で活用される様子を知ることで、「一食を捧げる運動」(一食運動)の実践・推進の契機とすることが目的だ。

聖エジディオ共同体は、HIV(エイズウイルス)の感染率の高さが社会問題化しているマラウイで、2005年からHIV陽性者に医療を提供する事業を展開。現地で医療施設や研究所を作り、ケアや治療、母子感染予防など、地域に密着した無料診療を行っている。同共同体と長年交流してきた本会は、16年にアフリカで貧困や搾取に苦しむ人々のために両団体が協働を図る「フレンドシップ合意書」に調印。一食平和基金は、同共同体との合同事業として、「HIV/エイズ事業」と「出生登録事業」に取り組む。

今回、一食運動の50周年を記念して、マラウイで同共同体の「HIV/エイズ事業」に携わり、同じ病を抱える人を支えるアクティビストのレティシア・ムクワパタ氏、医師のハワ・ママリ・サンガレ氏、同共同体の事業統括責任者であるステファノ・オーランド氏が来日した。

来日イベントの2日間のうち、13日は大船教会を会場に、全国の一食推進担当者ら会員とオンラインでつながり、ムクワパタ氏とサンガレ氏がスピーチ。事業内容や支援先の状況、受益者の思いなどについて学ぶ報告会が行われた。

14日には、青年などを対象に両氏との交流会がウェブ会議システムを使って行われ、マラウイの文化を知るクイズや青年部員による両氏へのインタビュー、チャット機能を使って寄せられた声を桜の花をかたどったメッセージカードに書いて模造紙に貼り付ける「みんなの思いで桜づくり」など、心温まる手づくりの触れ合いの時間が持たれた。

また、15日は大聖堂で行われた「釈迦牟尼仏ご命日(布薩=ふさつ=の日)」式典で、ムクワパタ氏があいさつ。現地での活動について熱い思いを語った。式典後には、法輪閣大ホール控室で、庭野光祥次代会長や教団役職者らと懇談した。

各日程での報告会や交流会、懇談などの詳細について紹介する。

13日の報告会から
レティシア・ムクワパタ氏の体験発表

2004年にHIVの感染が判明した当時、症状はかなり重く、地域の人々からは病気のことで偏見の目で見られ、人生に絶望していました。その頃、「HIV/エイズ事業」の取り組みに出合いました。

治療を受けて体調が徐々に回復するのと同時に、アクティビストの方々が毎日、家に見舞いに来てくれて、親身に寄り添い私の悩みや不安な思いをとことん聴いてくれました。診療所での受診や薬の定期的な服用の確認をしてもらいながら、「大丈夫よ」と優しく声をかけ続けてくれたことで、自分の命がここで終わるわけではないとの安心感が広がりました。

やがて偏見の問題も解消され、多くの支えに感謝できた次の瞬間、「今度は私が人さまを救う助けになりたい」と心から願えたのです――。

現在、私はアクティビストとしてHIV陽性者の悩みの声に耳を傾け、治療や副作用に関する基本的な知識について説明し、定期的な検査や服薬継続のためのサポートに奔走しています。

仕事や子育ての忙しさから治療が滞ったり、誤った服薬の仕方で血液中のウイルス量が減らなかったりする患者とは、生活習慣を見直しながら適切な検査と治療のサイクルに戻る方法を一緒に考えます。

中には、病への恐怖心や服薬を忘れた罪悪感など感情的な問題を抱えた患者もいるのですが、私は実体験を話しながら、「この病に罹(かか)ったことは恥ではない。あなたには尊い一人の人間としての尊厳がある」と根気よく語りかけています。アクティビストには、患者を絶望から新たな希望につなぐ「架け橋」の役目があると思うのです。

今後もHIVの感染が人生の終わりではないことを示しながら、尊厳と希望をもって生きる人々と共に歩んでいきます。

【次ページ:14日の交流会から】