「全国教会長人権学習会」から 職場で役立つ傾聴の仕方や部下の叱り方
『ハラスメントについて学ぶ』をテーマに、教会長および教団本部の管理職を対象とした「全国教会長人権学習会」が9月13日、大聖ホールで開催された(オンラインを併用)。ハラスメントとは、相手を不快にさせる言動で苦しめたり、悩ませたりする行為全般のこと。現在、法律で規制されているハラスメントは、優越的な関係に基づき、業務の適正な範囲を超えて苦痛を与えたり、就業環境を害したりする「パワーハラスメント」、性的な言動に起因する「セクシュアルハラスメント」、育児休業や介護休業の取得に際し、不当な取り扱いをする「マタニティハラスメント」「ケアハラスメント」の4種類がある。
当日は、講師を務めた特定社会保険労務士の假谷美香氏がハラスメントについて解説し、職場での信頼関係の構築にも役立つ、部下への傾聴の仕方や叱り方のスキルを紹介した。その一部を紹介する(文責在編集部)。
なお、7月2日には、同テーマで本部職員対象の人権学習会が行われた。
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ハラスメントを日本語に置き換えると、嫌がらせやいじめです。人格や属性に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることを指します。
たとえ加害者側に嫌がらせやいじめをしている自覚がなくても、被害者側がそのように受け取れば、ハラスメント案件になり得ます。故意であろうとなかろうと、相手の嫌がることをしてしまうから、嫌がらせやいじめになるのです。ハラスメントを起こさないために大切なことは、相手を理解し、反省することです。相手が嫌がることは何かをしっかりと理解し、自らの言動を省みることで、防ぐことができます。
一方、第三者から見るとハラスメントと捉えられかねないような厳しい言動を取ったとしても、ハラスメントにならない場合もあります。それは、相手との信頼関係がある場合です。相手との信頼関係があれば、言われた側が、〈自分のためを思って本気で叱ってくれている〉と受けとめるからです。言い換えると、ハラスメントは、元々信頼関係がない、あるいは、加害者側だけが信頼関係があると思い込んでいるところに生じます。つまり、ハラスメントの多くは、ミスコミュニケーション(情報が正確に伝わらない状況)から起こっているとも言えるのです。
部下との信頼関係の構築はとても重要です。部下の話を聞いたり、指導したりする際に活用できるスキルをいくつかご紹介しましょう。
一つは、傾聴のスキルです。部下と対面で話をするとします。その時、向かい合わせではなく、ハの字型に座ると、心理的な距離が縮まるのだそうです。前傾姿勢で話を聞くと、〈しっかり聴いている〉というサインになります。相手の目を見続けると相手が緊張してしまうので、相手の話に句読点が入るタイミングでアイコンタクトを取るのが良いでしょう。笑顔を意識し、会話のスピードは相手に合わせます。うなずく時は縦に深く1回、あいづちは短い肯定の言葉を。これらを上手に使い分けると、話を真剣に聞いていることが相手に伝わりやすくなります。