青少年が主役 全国各教会の取り組み
盛岡教会 開講! 心育む青年塾
「宗教があまりよく分からなくて参加しました」。青年が不安げな面持ちで教会長を見つめる。そんな声が聞こえたのは、6月16日に盛岡教会が開催した「令和6年 MORIOKA『青年塾(Seeker’s Labo)』」だ。この塾は、同教会と花巻教会の合同で行われ、初回には、田代耕一盛岡教会長を主任講師、林成佳花巻教会長を副講師に、両教会の青年11人が集まり、半年間にわたり根本仏教を学んでいくもの。青年期に信仰を持つ意義と必要性を学ぶとの願いが込められている。
この日は初回の研修で、参加者は初めて根本仏教を学ぶ人がほとんど。張り詰めた顔を見せる青年たちに、田代教会長が「この教育は、教会のリーダーを育てるためのものではありません。自分では気づいていない自身の良さを知って頂くための教育です」と言葉をかけると、参加者の表情が少し和らいだ。
当日は、参加者全員の自己紹介の後、二つの研修が行われ、最後に「研修のかみしめ」をした。
特に好評を博したのは自己紹介だ。青年が自身の発表を終えると、田代教会長は九星気学をもとに割り出した一人ひとりの特徴を見つめ、個人に合わせた受けとめを行う。狙いは、自分が持っている良さを知ることで、長所を伸ばせるようにするため。信仰3代目の青年が、「生まれた時から信仰が身近にあるのに、宗教があまりよく分からなくて参加しました」と話すと、田代教会長は、自身も3代目であり、宗教に対して抵抗があったと共感を示す一幕があった。同時に、けんかが絶えない家庭で育ったことも告白。「なんのために親が信仰しているのか分からない時期があった。でも皆、修行の途中なんだと気づき、信仰を持たない家庭だったらもっと悲惨だったかもしれない」と話した上で、「“どうして信仰するのか”という疑問はとても大切です。一緒に探していきましょう」と語りかけた。青年は思いがけない言葉に目を瞬いた後、はにかんだ笑顔でうなずいた。
研修は「1.人生と宗教」「2.釈尊のご生涯と仏教の要諦」の2本柱で進行。宗教を身近に感じてもらうために自身の経験を交えて話す田代教会長の言葉に耳を傾け、青年は、テキストにマーカーを引いては時折、うなずいた。途中、「青春時代は迷いが多く、どう生きればいいのか、道を見いだしにくい。青年期にぜひ宗教に触れてほしい」と前置きし、「道徳や倫理では不十分なんです」と強調した田代教会長。その言葉に、何人か不思議そうな表情を浮かべる。田代教会長は続けて「たしかに、道徳や倫理を守れば世の中の秩序は保たれ、国民は幸せになります。でも、善悪の決まりから漏れ出てしまう人がいるのです」。酒やギャンブルなどの欲望、人の好き嫌いや、理性に反してカッとなってしまう感情、それらを例に出しながら、「善悪の基準に絞らず、心にどのような働きかけをしたらその人がよりよく生きられるか、人を深く見つめていくためには宗教が必要だと思うのです」と話した。また、その上でカルト的な宗教との違いについても言及すると、青年から「少し気になっていたことが聞けて、ふに落ちました」と感想が上がった。
研修も終盤に差し掛かり、この日をかみしめるグループワークでは、初めの緊張した様子とは違い、青年たちはリラックスした雰囲気で、率直に感想を吐露した。専門学生の女性会員(19)は「会員綱領の中にある『人格完成』という言葉が、あなたらしい人になるという意味だと知りました。佼成会って心に寄り添う宗教なんですね」と話した。看護師の女性会員(33)は「幼い時から信仰に触れていたけど、教えをよく分かっていなくて……。自分がどういう生き方をしたらいいか、知りたくて参加しました。ありのままの自分を受け入れていきたい。この研修はまさに今の私に必要なことでした」と語った。今後、青年たちは手どりも経験する予定だ。