青少年が主役 全国各教会の取り組み

青少年育成の先頭に立つ庭野会長(写真は、学林の「田植え祭」)

立正佼成会の庭野日鑛会長はこれまで、『年頭法話』や信行方針などで、青少年育成の重要性を説いてきた。また、教団創立100年に向けた基本構想・母型(マザープログラム)では、「育成」の重要な点として、「知っている私が知らない人に教えてあげる」のではなく、「みんなが救われる人であると同時に、みんなが救う人になる」と示されている。青年ネットワークグループは、令和4年次から、基本構想をもとにした『自分の発を大切に、自分らしく、信仰を楽しむ』がキーワードの大志プロジェクト「第七次三ヵ年計画」(愛称:ナナジ)を開始。基本構想から“多様な人が多様な人を救う”とのメッセージを受け、「みんなで考え、共に育ち合う」語り合いの場づくりを念頭に置きながら、ナナジを推進してきた。3年目を迎えた今、互いの多様性を尊重し合い、自分らしく主体的に活動に励む、全国の青少年たちの取り組みを紹介する。

旭川教会 学びの本質、伝えたい

6月16日、夏日となった北海道旭川市と同じく、旭川教会道場は会員の熱気に溢(あふ)れた。コロナ禍を経て、オンラインを含め会員204人が教会道場に集い、「青年の日」として開催された講演に真摯(しんし)に耳を傾けたのだ。

この中で、講師である認定NPO法人八王子つばめ塾の小宮位之理事長は、現代は塾に通う公立中学生が約7割に上るが、高校進学に向けた塾費用(年間平均25万円)を捻出できない家庭は多いと説明した。「学びたい」と願う子に教育の場を提供したいと、2012年に貧困家庭の子どもを対象にした無料塾「八王子つばめ塾」を創立。「学習支援」「食料支援」「奨学金給付」を柱とし、「人の役に立つ人間になりたい」との志を持った人材を育てることを理念に活動していると語った。

現在、支援の輪が広がり、社会人や大学生のボランティア講師が延べ200人を超えたと報告。彼らから無償の励ましと協力をもらった“つばめ”(卒業生)は300人以上、このうち9人が無料塾で教育ボランティアを務めた。「それぞれが成長した先で人のために行動していると信じています」と小宮氏は言う。

講演後、小宮氏、北海道議会の宮崎アカネ議員らを囲んで座談会を実施。この中では、子どもの貧困を個人の問題ではなく社会の課題と捉える大切さ、一人ひとりが目の前の人を励まし、思いやることで社会が変化していくことなどが確認された。

参加者の一人である青年婦人部長(48)は、「家庭の中で、親があいさつする姿を子どもに見せるなど、人として大事なことを教えるのが教育の原点と再確認できました」と語った。

また、青年部員を中心にドーナツや弁当の販売が行われ、収益金は能登半島地震の被災地支援募金に寄付された。

木更津教会 少年部お役デー

6月下旬の土曜日、木更津教会で朝の読経供養が始まった。導師、脇導師の席に座るのは少年部員。緊張した表情で役に臨むその背中を、法座席から会員たちが温かいまなざしで見守る――。

青少年育成の一環として、同教会は今年から月に一度、小・中学生が読経供養の役を担う「少年部お役デー」を始めた。この日、役に取り組んだのは富士見支部の5人。導師を中学生がつとめ、鐘、木鉦(もくしょう)、太鼓を小学生が担った。練習では息を合わせるのに苦労したが、本番ではきれいにそろえることができた。読経供養後、5人はあいさつに立ち、「みんなとできてよかった」「またやりたい」と発表すると、参拝者から大きな拍手が送られた。

少年部・学生部育成担当で、儀礼儀式の作法をレクチャーしたMさん(61)は、「お役を通して気持ちを合わせることの尊さを学ぶと、人を思いやる心が育まれていきます。周りの大人も、心一つに頑張る子どもの姿に触れることで一体感を得られます。それが少年部お役デーの功徳です」と言う。同活動の責任者、少年部長のSさん(48)は、「この日のために頑張ってきた子どもたちと本番をやり遂げた達成感を一緒に味わえるのが、大きな喜びです。子どもたちに“またやりたい”と思ってもらえるような活動を今後も考えたい」と意気込みを話す。

「子どもたちには教会道場を、いつでも足を運べる場所にしてほしい。これからも仏さまとのご縁づくりの場を提供したい」。伊島基予教会長は青少年育成への思いをそう語る。

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