たくさん笑って快適な毎日を おうちで楽しく「笑いヨガ」 日本笑いヨガ協会代表・高田佳子氏 (動画あり)

イラスト/福井彩乃

新型コロナウイルス感染症の流行による自粛生活や在宅勤務などで、精神的疲労を感じている人は少なくありません。快適に過ごすには心身のリラックスが必要で、笑いにはその効果があるといわれています。日本笑いヨガ協会の高田佳子代表に、「笑い」の効果と、自宅でできる笑いヨガ運動について聞きました。

笑う門には福来る

笑いには、ストレスを解消し、ポジティブな感情を引き出す効果があります。加えて、血圧や血糖値を下げ、心疾患や脳卒中、認知症などの予防や改善にもつながります。ただ、毎日を笑って過ごせるといいのですが、ストレスが溜(た)まっていたりした時には、なかなか笑うことができません。そんな状態の時でも感情に関係なく、笑いの効果を得られるのが「笑いヨガ」です。

笑いヨガは、笑う動作と呼吸法を組み合わせた体操で、「ホッホッ」「ハッハッ」という掛け声を体操の合間に挟みます。実は、人間の脳は、面白くて笑っているのと、笑うふりの区別ができません。ですから、笑う動作を繰り返すことで、脳は「体が笑っている」と認識し、それによって「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールを軽減させます。また、血液循環が良くなって体温が上がり、免疫力も高まり、自律神経が整えられるのです。そして、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやドーパミンが分泌され、気分爽快になります。

さらに、笑う動作を続けると、顔の表情筋や声帯、胸筋、腹筋などが鍛えられます。これらの筋肉は呼吸する時に使われる筋肉と同じで、私は「ゲラゲラ筋」と呼んでいます。

ゲラゲラ筋を鍛えると呼吸が深くなり、酸素をたっぷり体内に取り入れられるようになります。そのため、認知機能の低下や病気の原因にもつながる低酸素状態が改善されます。特に、コロナ禍によるマスクの着用で呼吸が浅くなりやすくなっているので、笑いヨガは感染症に負けない体づくりにも効果的です。

「手拍子と掛け声」と「元気ポーズ」

まず、笑いヨガの基本動作である「手拍子と掛け声」「元気ポーズ」を紹介します。

「手拍子と掛け声」では、「1、2、123」のリズムで手拍子し、そこに「ホッ、ホッ、ハハハ」と声を出します。数回繰り返した後、「イェーイ」という掛け声とともに、万歳します。

手拍子と掛け声

「元気ポーズ」は、「いいぞ! いいぞ!」のフレーズで手拍子し、「イェーイ」の掛け声で、万歳します。この動作を2回繰り返してください。この二つの基本動作だけでも脇腹が伸び、内臓全体の血液循環が改善されます。これに加え、自宅で簡単にできる「ムンクの叫び笑い」「昆布笑い」を紹介します。

元気ポーズ

「ムンクの叫び笑い」と「昆布笑い」

ムンクの叫び笑いでは、ノルウェー出身の画家・エドヴァルド・ムンクの名画『叫び』をイメージします。目を見開き、口を縦方向に大きく開けて「ホホホホホ」と息を吐きます。表情筋をしっかり大きく動かすことで、顔の血行が良くなりますし、誤嚥(ごえん)性肺炎の予防にも効果的です。

ムンクの叫び笑い

昆布笑いは、まず両手を上に伸ばし、交差して手のひらを合わせてください。その姿勢のまま海に漂う昆布のように、脇腹をしっかり伸ばしながら、「ハハハハ」と前後左右に揺れます。足を出した方に体を倒すと腰までストレッチできます。椅子に座ったままでも効果があります。この笑いは、肩こりや腰痛の改善、ダイエット効果も期待できます。

昆布笑い

それぞれの運動の最後には、「手拍子と掛け声」「元気ポーズ」を行ってください。笑いヨガのポイントは、「笑うこと」ではなく、笑うための「筋肉を動かす」ことにあります。大声を出す必要はありません。一日5分でもいいので、無理のない範囲で続けてください。

人は笑うことでネガティブな気持ちをリセットできます。明るく健康的な人生をつくるその一助に笑いヨガは最適です。笑う門には福来る――素晴らしい一年をお過ごしください。

動きを動画でチェック!(クリックで動画が再生されます)

 

プロフィル

たかだ・よしこ 兵庫・神戸市生まれ。2009年にインドで笑いヨガを学び、帰国後に日本笑いヨガ協会を設立した。笑いは呼吸であると考え、一生「健康」と「ごきげん」を手に入れられる笑トレや笑いケアを開発し、高齢者のケア現場や企業のストレスケアの分野でも指導・講演活動を行っている。日本応用老年学会理事。著書に『ボケないための笑いヨガ』(春陽堂書店)、『大人の笑トレ』(ゴルフダイジェスト社)など。

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