ACRP 第9回「ACRP東京大会」宣言文(全文)

大会の最終日に、大会宣言文を採択。宗教者が果たすべき具体的な行動を示した(ACRP提供)

アジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回「ACRP東京大会」が10月17日から22日まで、立正佼成会の法輪閣(東京・杉並区)を拠点にオンラインで開催された。同大会の最終日には、宗教者が果たすべき具体的な行動を示した宣言文が採択された。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会から発表された大会宣言文(全文)を紹介する。

前文

2019年以降、人類のあらゆる活動領域に悪影響を与えているCOVID-19のパンデミックは、依然として地球市民に対する厳しく致命的な挑戦となっている。多くの信仰コミュニティの人々もまたその影響を免れない。COVID-19ウイルスにより、教会、寺院、モスクやその他の礼拝所に集まることができなくなり、重要な儀式や信仰の伝統を実践する方法の変更が余儀なくされている。

RfPアジアとも称されるアジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回大会(これ以降東京大会と称する)は、当初、2020年10月に日本の東京で開催され、1970年に日本の京都で開催された世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)第1回世界大会の50周年を記念する予定であった。この会議はCOVID-19の影響で1年遅れたが、この遅れは決して後退ではなかった。ACRPのビジョンと使命に共感する私たちは、この延期が、現場での具体的な行動を遂行するために私たちの決意とコミットメントを再確認する貴重な機会となったことを確信している。

東京大会は、2021年10月17日から22日まで東京を中心舞台として、『行動するアジアの宗教コミュニティ:誰一人取り残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして』というテーマのもと、初めてオンラインで開催された。今回、WCRP/RfP日本委員会が初めて主催した東京大会には、アジア太平洋地域の21カ国から6日間にわたり、さまざまな宗教コミュニティを代表する正式代表者を含む約1500人が参加した。ACRPは、東京大会の開催に協力をいただいた開催国の委員会に深く感謝する。

東京大会では、管理総会(代表者124名)と執行委員会(代表者47名)を中心とした、全面的に刷新された定款が承認され、新たに諮問委員会とアジア・トラスティーズの2つの組織が追加された。また、東ティモールの暫定加盟が承認され、21カ国に加えて、最も新しい加盟国となった。21カ国は、オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、イラク、日本、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、キルギス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイであり、世界の人口の52%を占めている。

アジアにおける我々の挑戦

「21世紀はアジアの世紀」と呼ばれるものの、アジアは依然として平和ではなく、アジア諸国とその少数者間の更なる和解のための真の努力が必要である。アジアの人々は、現在も進行している軍拡競争と、核兵器がもたらす世界的な脅威に深刻な懸念を抱いている。朝鮮半島は、第二次世界大戦の最後の残像として、いまだに分断状況にある。国家内、国家間の紛争や対立は、アジアの多くの地域で見られる。東京大会の参加者は、アジア太平洋地域における紛争や流血を懸念している。

アジアでは明らかな経済成長が達成されているものの、多くの国々が経済不況や貧弱なガバナンスに苦しんでおり、その状況下で貧富の差が拡大している。アジアでは、無生物、有生物を問わず、あらゆる形態の生命(いのち)の尊厳が侵害されているため、あらゆる形態の生命の尊厳に対する意識を高める教育が強く求められている。人権が侵害されている人々の声を明確に聞くべきである。人身取引、児童労働、児童婚や他の慣習的に行われている間違った行動は、ジェンダーの不平等をもたらし、人間の尊厳を侵害している。アジアでは、宗教、民族、文化の多様性が危機にさらされ、宗教的、政治的、民族的過激主義によってさらに悪化している。アジアでは、生命の尊厳への新たな攻撃となる環境の悪化が広がっている。気候変動は現在、気候「危機」と表現されていて、人類の生存と発展に厳しい課題を突きつけている。すべての国が気候危機の犠牲になっている。

【次ページ:我々のアジアヘの再確認】