コロナ禍の中で悩みを分かち、知恵を出し合い、皆で苦境を乗り越えていく 「六花の会」共同推進責任者に聞く

大畑共同推進責任者

経営者や個人事業主の立正佼成会会員(有志)による全国的なネットワーク「六花(りっか)の会」は2018年12月に発足し、各地で仏教経営者塾を行ってきた。新型コロナウイルス感染症が流行した昨春以降は、オンラインで活動している。仏教精神を経営に生かして会社を元気にし、社会に役立つ企業になっていくことが願いだ。経営者の自覚と実践の大切さなどを学ぶとともに、コロナ禍の現在は悩みを分かち、知恵を出し合って皆で苦境を乗り越えようとしている。同会の共同推進責任者の大畑昌義さん(69)=荒川教会渉外部長=にメンバーの現状やコロナ禍での取り組み、仏教経営者塾にかける思いなどについて聞いた。

「オン塾」でつながる場づくり

――コロナ禍の中で、「六花の会」に参加する全国の経営者の現状はどうですか?

国内企業の決算発表を見ると、昨年春からのコロナ禍の中で、業績が伸びている業種と落ち込みが激しい業種がくっきりと分かれ、二極化が鮮明になっているといわれています。私は「六花の会」の共同推進責任者として、これまで各地の経営者、個人事業主の会員さんに話を聞いてきました。コロナ禍の負の影響を強く受けている方は多く、半数以上の方が売り上げの減少に悩み、その落ち込み幅は昨年よりも今年の方が大きいと不安を抱えています。対面を避けなければならない現状では、新規の取引先を探す訪問営業も難しく苦慮されています。

特に深刻な影響を受けているのは、休業や時短営業の対象となった飲食業界です。東京の銀座で7軒の飲食店を営む会員さんは、客足が遠のいて採算が合わなくなり、今年、1店舗を手放して残る6店舗を経営しつつ、新たに別荘の賃貸事業を始め、活路を見いだしていると話してくれました。

また、銀行の融資でギリギリの操業を続ける方も多いのが現状です。融資はいわば借金ですから、売り上げが回復しなければ返済もできません。先行きが見えないと精神的にも追い込まれてしまいます。その中で経営者は、事業を縮小して経費を抑えて乗り切るか、業態を変更するか、新規事業を始めるかなど、それぞれの判断を迫られます。

――「六花の会」ではどのような取り組みをしていますか

集うことが難しいため、オンラインによる仏教経営者塾(「オン塾」)に力を入れています。苦境に立つメンバーを孤立させないよう、つながるための「場」をつくろうとの思いからです。「オン塾」では、識者の講演や教えを生かして経営に精進するメンバーの体験説法から学びを深め、互いの悩みを語り合うことを大切にしています。また、その中で、煩雑な持続化給付金の申請方法について情報を共有することもできました。

コロナ禍の中、経営者は常に判断を迫られる。「六花の会」ではオンラインでの取り組みに力を入れ、学びを深めている(写真は昨年12月の同会代表世話人会)

家族を養い、社員の生活を守るために、経営者はどのような状況でも、利益を上げる経営判断が求められます。先が見通せないコロナ禍の中で、その責任と重圧は一層増しています。私も含め経営者は「自分が何とかしなければ」という責任感が強い半面、なかなか人に相談できず、「自分は孤独だ」と落ち込みがちです。だからこそ、経営者ならではの悩みや苦しみを理解し、率直に話し合える仲間が大きな力となるのです。

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