庭野光祥次代会長に聞く――『宗教協力が育む力』(3)
“皆さま”の精進が大きな力に
――一人ひとりの行動が、世界の人々と、また未来の人とつながっているのですね
会員の皆さまの中には、自分の願い、行動はささやかなもので、世界の平和に貢献できているとは思えないという方がいらっしゃるかもしれません。でも、実は、日々の基本信行や布教伝道の一つ一つがとても大きな力となって、世界に貢献しているのです。
佼成会には、教会で修行し、地域で教えを伝え、悩んでいる方の力になっている方がたくさんいます。また、自らの苦をきっかけに信仰に目覚め、教えに沿った人の役に立つ生き方を心がけ、幸せになった方が大勢います。その事実がどれほど大きな力を持っているか――私は諸宗教者や識者とお会いしたり、国際会議などに参加させて頂いたりするたび、そのことをひしひしと感じます。
私が会議で「仏教とは、こういう教えです」「佼成会で大切にしているのは、このことです」という話をすれば、多くの方が耳を傾けてくださいます。でもそれは、皆さまが法華経や開祖さまの教えを基に精進を重ねられ、自分自身や周囲の人に幸福をもたらして、仏教に大きな救いの力があることを日々証明してくださっているからです。夫婦の関係や子供との触れ合い方を見つめ直したり、借金問題に苦しんでいる人の支えになったり、そうしたことは世界の平和とは関係がないと思うかもしれませんが、そうではないのです。仏教に、教えに、意味を持たせてくださっているのは皆さまの存在なんです。諸宗教対話・協力が推進され、世界平和への取り組みが行えるのも、皆さまが宗教に大きな意味を持たせてくださっているからなのです。
私は、会員の皆さまが日々重ねられている精進と、私がさせて頂いている諸宗教対話・協力の活動がつながっていることを深く感じています。そのことを皆さまにお伝えしたいと思っていました。
法華経は素晴らしい教えです。同時に、それを所依の経典とする私たち一人ひとりの生き方が法華経に意味を持たせているのだと感じます。これからも、それぞれの場で、共に教えを実践しながら、皆さまと一緒に歩んでいきたいと願っています。