米国での「宗教対話プログラム」 互いの信仰を学び、平和への願いを新たにした会員たち
宗教的な語り合いの場に
この後、グループごとに車座をつくり、講話の感想や、互いの平和に対する考えを発表し合った。「少人数で語り合う形式は、立正佼成会の法座に着想を得ました」。そう語るのは、2年前に本会との交流プログラムで来日したことがあるチャールズ・ウルドリッジさん。広島教会で体験した法座が、信仰的な語り合いの場として深く心に残り、今回のプログラムに取り入れたと話す。
意見を交わす中で、ウルドリッジさんは、初めて広島平和記念公園を訪れた時の心境を語った。「平和公園で、私は居心地の悪さを感じました。原爆がもたらした惨状を知って悲しみが込み上げ、原爆を投下した国の国民として、いたたまれなくなったからです」。
これに応じるように、中野教会の女性(23)が、以前ハワイで、日本軍の真珠湾攻撃による犠牲者を慰霊した時の経験を明かした。「日本人として申し訳ない気持ちでした。あなたが広島で感じた心境にとても似ています」。ウルドリッジさんは、女性の言葉に励まされたと語った。
別のグループでは、『平和とは何か』について意見が交わされた。板橋教会の男性(20)は、「威嚇によって安全を築くのは力の支配。常に攻撃に備えて緊張している状態は、戦争が起きていなくても平和とは言えない」と話した。これに対し、オールソウルズ教会の信徒からは、「怯(おび)えたり恐怖を感じたりしない、心穏やかな状態が本当の意味での平和なのではないか」といった考えが示された。
グループの話し合いでは、支持政党や自らの政治的な考えを主張する現地の人々に触れ、日本との違いに驚いた会員も少なくなかった。安城教会の女性(22)は、「信徒間でも、政治の話をし、自らの意見を発言する彼らの姿は刺激的でした。私も日頃から政治の動向に意識を向け、平和に対する考えをはっきり伝えられる人になりたい」と語り、相手の考えを聞き、自身の意見を伝える対話の重要性を学んだと話した。
オールソウルズ教会を後にした一行は4日、広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」が展示されているスミソニアン航空宇宙博物館別館などを見学した。
ニューヨークでは、2001年9月11日の同時多発テロの現場となった世界貿易センター跡地(グラウンド・ゼロ)で犠牲者を慰霊。国連本部では、庭野開祖が「国連軍縮特別総会」で3度演説に立った総会議場などを見学した。この後、一行はWCRP/RfP国際委員会の事務所を訪れ、杉野恭一事務総長代行から、宗教協力による世界平和の取り組みについて説明を受けた。