一食ユニセフ募金の浄財がリベリアで 女性や子どもの笑顔があふれる社会に

ユニセフと宗教指導者が手を携え

滞在最終日に訪れたモンセラード郡のモスクでは、金曜礼拝に参加する大勢の信者を前に、イマーム(イスラームの宗教指導者)が説教を行っていた。

「子どもの人権を守ることは家庭を守ることの真髄です。子どもたちを差別せず尊重して育てるべきです」

地域コミュニティーで大きな影響力を持つ宗教指導者たちは、各地で教えを説く中に「子どもの尊重」「暴力の防止」の重要性を盛り込み、子どもの人権を守ろうというメッセージを繰り返し伝え続けている。彼らはユニセフとIRCLによる研修を受けた人たちだ。

ユニセフのブレイモー代表

ユニセフ・リベリア事務所のスレイマン・ブレイモー代表は、「宗教が有する影響力や市民を束ねる力は、子どもたちが虐待や苦しみ、貧困から逃れられる道を拓(ひら)くためにとても重要だと考えています。宗教指導者による対話は平和構築の種です。立正佼成会の皆さんとの協働がなければ、宗教者の力を借りるということに目が向かなかったかもしれません。皆さんはこの事業を通して、ユニセフとリベリアの宗教指導者が手を携えるきっかけをつくってくださいました」と話す。

昨年は、3郡のイマーム160人、牧師140人が先の研修を受講した。その後、彼らが、教会やモスクでの説教を通してこうしたメッセージを伝えた信徒は一年間で延べ2万5000人以上に上る。地域の人々の価値観の転換を促す平和を育てる取り組みは現在、教会などにとどまらず、地域での集会や宗教指導者が運営する教育現場、PTAの会合、結婚式といったさまざまな場面に広がりを見せている。

IRCLの会長で、キリスト教評議会会長でもあるコートゥ・ブラウン牧師は、視察を終えた一行に、「子どもたちを守ることは社会の不正に立ち向かうことであり、私たち宗教者にとって最優先事項です。リベリアの未来である子どもたちのために、これからも協働していきたい」と語った。

モンロビアで、IRCLに所属するキリスト教やイスラームの宗教指導者に話を聞く。宗教の違いを超えて願いを共有し、リベリアの再生に尽くす

リベリア共和国

西アフリカに位置し、ギニアやコートジボワールと隣接する。公用語は英語。クペレ族、マノ族など16の多民族国家で、473万人の人口のうち、首都モンロビアに半数が集中する。宗教はキリスト教が85%、イスラームが12%を占め、学校や医療機関の大部分が宗教指導者によって運営されている。ユニセフの統計では、中学卒業率は59%。6歳から14歳までの子どもの17%が学校に通っていない。二度の内戦の影響が続き、現在も世界最貧国の一つ。2014年から16年までエボラ出血熱が流行し、4800人以上が死亡した。平均年収は456米ドル。主な産業は天然ゴム栽培や鉱業で、食糧の多くは輸入に頼り、物価が高い。主食の米は、首都で1袋(25キロ)16米ドル、南東部では25~30米ドル。