日本の看取りを考える全国大会 死の尊厳を見つめて 映画『みとりし』に主演の榎木孝明氏が講演

『私は、看取り士。――わがままな最期を支えます』(柴田久美子著)が発刊

本書は、自宅で最期を迎えたい人、それをかなえてあげたいと願う人のための、看取りの手引書です。これまで200人以上の人の旅立ちを見送ってきた「日本看取り士会」会長の柴田久美子氏が、看取りの心構えやその作法について書き下ろしました。来春には、著者をモデルとした映画『みとりし』が公開予定です。

◇ ◇ ◇

「看取り士」という職業がある。死に逝く人の最期に寄り添い、見送る人のことだ。また、遺族が悔いを残すことなく、故人と「お別れ」ができるように看取りのサポートを行う。本書は、25年間、生と死に向き合い続けた看取り士・柴田氏のエッセー。

現在、日本人のおよそ8割が病院で最期を迎える。一方、そのうちの約5割が「自宅で最期を迎えたい」と願っているといわれる。しかし、自宅で看取るという文化が薄くなった現代では、その手だてが分からず、希望通りにはいかないのが現実だ。こうした状況から、著者は「尊厳ある最期が守られる社会を創りたい」と願い、自らを「看取り士」と名乗った。

200人以上のケースを基に、数々の事例を本書に紹介している。看取りの際の心構えや実際の触れ合い方といった実用的なものに加え、エンディングノートの活用の仕方、旅立つ人から魂(いのち)を引き継ぐ大切さなど、内容は多岐にわたる。

厚生労働省は、在宅医療・介護への方針転換を始めた。2025年には800万もの団塊の世代が後期高齢者になり、30年には47万人が「死に場所難民」になるといわれる。そうした「多死社会」において、自らの、そして大切な人の「Quality of Death(QOD/死の質)」を考え、より良い人生、より良い最期を送るための手引書となる。

巻末には、諏訪中央病院の鎌田實名誉院長との対談を収録。看取り士の誕生秘話をはじめ、死に対する二人の考え、地域包括ケアという共通の夢について白熱した談義が繰り広げられる。

◇ ◇ ◇

『私は、看取り士。――わがままな最期を支えます』
柴田久美子著
佼成出版社
1400円(税別)

同書について詳しくは、佼成出版社ウェブサイト https://www.kosei-shuppan.co.jp/book/b375517.html