日本の看取りを考える全国大会 死の尊厳を見つめて 映画『みとりし』に主演の榎木孝明氏が講演
家族や自らの「最期」をどう迎えるか――。誰もが避けては通れない死とその尊厳について思いを巡らす「第5回 日本の看取りを考える全国大会」(主催・同大会実行委員会)が9月16日、神奈川県の大和市文化創造拠点シリウス芸術文化ホールで開催された。医療や介護関係者、市民ら約400人が参加した。
看取りとは、高齢者や病人のそばにいて死期まで看病し、人生の旅立ちを見守ることを言う。この大会は、誰もが人間として尊厳のある最期を送れるよう看取りの意義を広めていこうと、一般社団法人「日本看取り士会」の柴田久美子会長が発起人となり、毎年行っているものだ。
当日は、人の最期に寄り添う「看取り士」の姿を描いた映画『みとりし』(来年公開予定)の予告、メイキング映像が上映された後、主演を務めた榎木孝明氏が『死生観と映画制作の秘話』と題して基調講演に立った。
榎木氏は、大半の人が病院で誕生し、死ぬ現代の社会に対し、自身の幼少の頃は、人の誕生も人生の最後も自宅で家族と共にあり、「生と死を身近に感じていた」と述懐。人が生と死について真剣に向き合い、いのちや人生について考え、自然に話し合える環境や雰囲気が社会から失われた現状は「残念なこと」と話した。
また、誰にも看取られず独りで亡くなる人が年間4万人に上る状況に胸が痛み、「身近な人や自分の死について向き合うべきだと日頃から考えていた」と吐露。「人が死に対して抱いている、暗く、怖いというマイナスのイメージを変え、向き合うきっかけになるのでは」と映画に込めた願いを語った。