一食平和基金が支援するカンボジア国立仏教研究所 ソー・ソクニー所長が事業報告 共に平和な未来を築くために
「平成30年度第3回一食(いちじき)平和基金運営委員会」が9月18日、東京・杉並区の立正佼成会本部で開催され、席上、カンボジア国立仏教研究所のソー・ソクニー所長が、同基金による支援事業について報告した。会議後の所長へのインタビューと併せて、報告の内容(要旨)を紹介する。
紀元前3世紀にカンボジアに仏教が伝来して以降、仏教は社会に深く浸透し、現在は国教に指定されています。人口約1500万人の9割が仏教徒で、人々はその教えを心の依りどころにしているため、日頃から寺院に参拝して僧侶の説法を聞き、生活に生かすことが習慣になっています。
カンボジア国立仏教研究所は、1930年に設立され、以来、僧侶の育成や仏教書の出版、重要資料の保全を担ってきました。ポル・ポト政権下ではその運営機能が失われましたが、現在は宗教省の下で、国の精神文化の要である仏教の発展に貢献する重要な機関に位置づけられているのです。
研究所の人材育成を目的として、2016年から3年をかけて、「カンボジア仏教研究復興支援事業」を実施しています。これは、立正佼成会一食平和基金からの約2200万円の支援で行われています。
この事業で最も重要な活動は、「『カンプチヤ・ソリヤ(カンボジアの太陽)』の出版」です。『カンプチヤ・ソリヤ』とは、年4回、各1000冊を発行する研究所の機関誌であり、“僧侶必読”の宗教文化雑誌です。毎号、最先端をいく宗教研究者や最高位の僧侶が編集や執筆に携わっています。ほかにも、「国の歴史や民話に関する古文書の復刻出版」「宗教文化の有識者による月例宗教文化講演会の開催」「図書館整備活動」などの活動があります。