一食平和基金が支援するカンボジア国立仏教研究所 ソー・ソクニー所長が事業報告 共に平和な未来を築くために

さらに、完成後の07年に、有力な支援団体が撤退して再び存続の危機に陥った際には、「カンボジア仏教研究復興支援事業」の実施を決定してくださいました。

仏教研究所の機関雑誌『カンプチヤ・ソリヤ(カンボジアの太陽)』。同誌は、人々の人生を照らし、道しるべとなっている

現在、仏教研究所は、着実に成果を上げる体制になりましたが、一つ課題を挙げるとしたら、持続的な運営をより確実にするための経済的な自立があると思います。

仏教研究所では、政府の政令に基づいて活動内容が定められているため、許可を得ずに事業を展開したり、利益を得たりすることはできません。そこで、仏教研究所を公社(公共企業体)化して自主的な運営が可能となるよう、政府や協力機関などからの幅広い支持を集める準備を進めています。公社化への認可が下りれば、国からの交付金や民間団体からの援助だけではなく、事業によって収益を上げることができ、自立運営に近づくと考えています。収益事業については、例えば、『カンプチヤ・ソリヤ』の有料販売を視野に入れています。

今後の展望として、これまでの各事業をさらに推進するとともに、来年から3年をかけ、「宗教文化をカンボジア社会に普及させる」ことを目的とした、二つの新たな活動を行う予定です。

20年1月に、カンボジア仏教研究所は設立から90年を迎えます。これに合わせた記念シンポジウムの開催が一つです。もう一つは、地方の寺院図書館の再興です。地方は、中央に比べて仏教書や一般書が今も不足しています。国の隅々にまで仏教の教えが行き渡るよう、具体的には図書館への蔵書や備品の提供という形で協力する取り組みです。

これからも、仏教の研究や出版を中心とした活動を通じてカンボジアの社会に仏教精神を広め、仏教による世界平和の構築にも寄与できる研究所となれるよう、精進していきます。

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