原爆投下から72年 広島、長崎で諸宗教者の祈り
原爆投下から72年を迎えた。被爆地の広島、長崎では、それぞれ諸宗教者による慰霊のセレモニーが営まれた。立正佼成会各教会での式典も併せて紹介する。
【広島】「第14回平和の鐘の集い」(主催・平和の鐘の集い実行委員会)が8月5日、広島市の行者山太光寺で行われた。近隣住民や宗教者ら約300人が参加。本会の齋藤高市中国支教区長(広島教会長)、アジア宗教者平和会議(ACRP)の神谷昌道事務総長シニアアドバイザーが出席した。
集いでは、実行委員長を務める同寺一山清明院の渡部舟海住職の開会あいさつに続き、齋藤支教区長が来賓を代表して献花を行った。
原爆投下から72回目の「原爆の日」を迎えた6日早朝には、広島平和記念公園内の原爆供養塔前で、「原爆死没者慰霊行事」(広島戦災供養会主催)が営まれた。本会から齋藤支教区長、長崎教会長を務める福田昌弘西九州支教区長が参列。諸宗教の代表者と共に、世界の恒久平和を祈念した。
また、同日、本会広島教会が教会道場で「広島原爆殉難犠牲者慰霊式典」を厳修。会員275人が参集した。
式典では、読経供養に続き、原爆が投下された当時の様子をまとめた映像作品が上映された。さらに、被爆体験を伝承しているNPO法人「ヒロシマ宗教協力平和センター」(HRCP)の波多野愛子さんと梅津佳代さんが講演。梅津さんは今年5月に亡くなった岡ヨシエさんの被爆体験をスライドとナレーションで伝え、原爆の悲惨さを伝えた。式典に参加した少年部員(11)は、「初めて被爆体験を聞いて、人が亡くなっていくことがとても怖いと思った」と語った。
【長崎】「長崎原爆の日」を翌日に控えた8月8日夕、立正佼成会の長崎、諫早、佐世保教会が加盟する長崎県宗教者懇話会主催の「第45回原爆殉難者慰霊祭」(主管・長崎県明るい社会づくり運動推進協議会)が、長崎市の原爆落下中心地公園で催された。海外の宗教者や、同市で開催された国際NGO「平和首長会議」の第9回総会の出席者を含む約1000人が参列。本会本部から澤田晃成総務部部長が参加した。
当日は慰霊祭に先立ち、バイオリニストとシンガーソングライターによる特別公演が行われ、天理教長崎教区雅楽部の演奏で開式。カトリックの代表による「お清めの儀」、伝統仏教の僧侶による「献水の儀」に続き、お告げの聖母保育園園児が「平和の誓い」を発表し、新日本宗教団体連合会(新宗連)長崎県協議会青年会のメンバーが「平和の灯」を祭壇に捧げた。
この後、長崎県宗教者懇話会、世界連邦日本宗教者委員会、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の代表者が「慰霊のことば」を述べた。この中で、WCRP/RfP日本委の中村憲一郎理事(本会常務理事)が杉谷義純理事長名の「慰霊のことば」を朗読。筆舌に尽くしがたい苦しみを抱えながら核廃絶を訴えてきた被爆者の行動が、今年7月の核兵器禁止条約の採択につながったとし、敬意を表すとともに、宗教者として「核兵器なき世界」を目指すと誓願した。
翌9日早朝には、長崎教会で「原爆犠牲者慰霊法要」が営まれ、100人が参集。被爆二世の会員による「献水の儀」、読経供養の後、澤田総務部部長が講話を述べた。式典に参列した被爆二世の会員(66)は「自分の思い通りにしたいという心が争いを生じさせ、ひいては戦争を招きます。まずは自分を見つめ直し、身近なところから平和を築いていきたい」と話した。