核兵器禁止条約の成立を受け WCRP/RfP日本委が歓迎の声明

ニューヨークの国連本部で行われた核兵器禁止条約第2回交渉会議 ©UN Photo/Manuel Elias

ニューヨークの国連本部で7月7日に「核兵器禁止条約」が成立したことを受け、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は14日、杉谷義純理事長名による『核兵器禁止条約を歓迎する声明』を発表した。

核兵器禁止条約は、全ての核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などを禁じるもの。核兵器の使用をちらつかせた威嚇の禁止も盛り込まれている。WCRP/RfP日本委は、同条約の制定を推進する活動を続けてきた。今年3月には、同条約の制定に向けた第1回交渉会議の開始に合わせ、同国際委、国際的なNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)と合同で『核兵器禁止条約交渉ハンドブック』を発刊。第2回交渉会議開始前の5月29日には、京都市の音羽山清水寺で、被爆者と共に条約の成立に向けた署名活動に取り組んだ。

今回の「声明」では、冒頭、70余年の核兵器開発の歴史の中で、初めて法的拘束力のある国際条約として、核兵器が禁止された意義に触れ、「核兵器は明白に違法なものとして、その存在自体が許されないものとなったことは、人間の倫理性の勝利」と表明した。その上で、「核抑止論の本質は、相手に対する威嚇、脅迫、詭計(きけい)、疑念が横たわり、人間間の不信から生まれている」とし、こうした「疑心暗鬼の関係」は、核使用の危険性を高めていると指摘。「核武装の論拠となっている『核抑止力』の否定をも包摂した内容であること」を高く評価した。

また、被爆者による「核兵器の非人道性」の訴えが条約成立につながったことを踏まえ、条約前文に「核兵器使用の被害者(ヒバクシャ)の受け入れ難い苦しみと損害に留意する」と明記された意義を説明。「大国による軍事バランス論に翻弄(ほんろう)されてきた核議論に、人道的見地が取り入れられ軍縮プロセスに活かされた」との見解を示している。

一方、米国、ロシアをはじめとする核保有国に加え、唯一の戦争被爆国である日本が、この条約交渉会議に参加しなかったことは、核廃絶を願う国内外の世論の期待を裏切ることになったとし、深い憂慮の念を示した。その上で、核保有国やその政策に依存している国の加盟促進を図ることが課題と指摘。今後、WCRP/RfP日本委は、国際的なネットワークを生かし、そうした国に加盟を促し、条約の実効性が高まるよう、宗教者として「祈りと行動を行う」決意を表明した。

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