第22回法華経国際会議 『現代における一乗思想の理解』をテーマに意見交換

『現代における一乗思想の理解』をテーマに、第22回法華経国際会議が6月28日から7月1日まで、立正佼成会本部大聖ホール(東京・杉並区)などで行われた。同会議は、海外の研究者に法華経への関心を高めてもらう目的で1994年から開催されている。

今年は、米国、韓国、台湾、ルーマニア、アイルランド、日本の研究者12人が参加。各人が論文を発表し、意見を交わした。本会国際アドバイザーのドミニック・スケランジェロ博士がコーディネーターを務めた。

発表の中で、インド仏教を専門とするカナダ・カルガリー大学のジェームズ・アップル教授は、『法華経の古層における一乗思想――普遍主義か排他主義か』を主題に発表。大乗仏教の中に一乗の概念が成立した経緯と、法華経に説かれる一乗の意味を検証した。

このほか、元上智大学教授のジョセフ・オリアリー氏は『普遍的救済:法華経と新約聖書のあいだ』、ポートランド州立大学教授のジョン・ホルト氏は、『現代の漫画や絵本の中の三車火宅の譬(たと)え』をテーマに発表した。

また、庭野統弘学林学長は、『誰が一乗に乗れるのか――仏の視点から』と題し、法華経の方便品に説かれた「諸仏出世の一大事因縁」に言及。サンスクリット原典に触れ、釈尊は人々に真の智慧である仏知見を悟らせるためにこの世に現れたが、それは、仏は生きとし生けるもの全てを菩薩と見ており、「皆が全て一乗に乗ることができる存在である」と説明した。その上で、悟りに至る人、至らない人といった区別が本来あるわけではなく、声聞(しょうもん)、縁覚(えんがく)を含め全ての人が仏と同じような働きができる存在であるとの見方が示されていると強調。法華経の人間観を基に、「皆が他者を助ける菩薩であるという見方は仏の見方であり、その視点がこれからの世界に広がればいい」と語った。

会議終了後の7月1日には、本会杉並教会を訪れ、「朔日(ついたち)参りご命日」式典に参加した。