「正教会のコンスタンティノープル・エキュメニカル総主教バルトロメオ一世がテンプルトン賞受賞」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
米国人教皇レオ14世の初国際訪問/キリスト教一致と中東和平求めて
バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は10月7日、ローマ教皇レオ14世が「トルコとレバノンの国家元首と両国のカトリック教会からの招待を受け、両国を11月27日から12月2日にかけて訪問する」と公表した。
トルコへは「第1回ニケア公会議」の1700周年を記念して訪問する。「第1回ニケア公会議」は西暦325年、キリスト教へと改宗したローマ皇帝コンスタンティヌス1世によって、噴出してくる種々のキリスト教教会内部での神学論争によりローマ帝国の基盤が揺らぐのを防止するために、「東のギリシャ系キリスト教教会と西のローマ系キリスト教教会」の司教たちを一同に会させ、合意を成立させる目的で招集されたもの。トルコの現イズニクにあるニケアで開催され、コンスタンティヌス1世自身が議長を務めた。
キリスト教の東西両教会間における一致を成立させた同公会議は、「史上初のエキュメニカル公会議」と呼ばれ、特に、「キリストの神聖にまつわる論争」に関し、「人となったキリストは、父なる神によって創造され、時間の制約を受ける」という神学的立場を否定し、「父なる神と子なるキリストが同じ本性を有し、永遠の神である」という、現在の分裂しているキリスト教諸教会間にも共通する教義を確立していった。「キリストの受肉(人となった)、死と復活」「聖母マリアの処女懐胎」などの教義を制定していった同公会議は、「復活祭の日」も定めた。コンスタンティヌス1世は、東西両教会の1800人(東1000人、西800人)の司教たち全員を招待したが、実際に参加したのは250人~320人だったと言われている。
教皇レオ14世がトルコ訪問中の11月30日には、キリストの筆頭弟子であった聖ペテロの兄弟とされ、正教会の保護の聖人である聖アンデレの祝日も祝われる。
歴代教皇のトルコ訪問は、教皇パウロ6世(1967年)、ヨハネ・パウロ2世(1979年)、ベネディクト16世(2006年)、フランシスコ(2014年)によって実現されていた。ローマ教皇のレバノン訪問は、教皇ヨハネ・パウロ2世とベネディクト16世によって成されていた。
また、レバノンでは、諸宗教と諸民族の蝶番(ちょうつがい)と呼ばれながらも、中東紛争に巻き込まれ、最近では長引く政治経済危機に疲れ果てた同国民を励まし、中東和平のために祈るとされている。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)