一食 令和6年度 運営報告を発表 「貧困(飢餓)の解消」など 各分野の事業に総額1億8664万円

アフガニスタンでは、認定NPO法人ジェン(JEN)との合同により、子どもたちが対象の学校給食事業を実施した(同団体提供)

本会一食(いちじき)平和基金の令和6年度運営報告が先ごろ、同基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)から発表された。支援総額は1億8664万2882円。同運営委は、「一乗精神」に基づく共生の世界を実現するため、『分断を越える“つながり”を築く』をテーマに定める「中期方針」(2024~29年)に沿って、「教育・人材育成を軸とした貧困の解消」を目指し、国内外7分野の事業を支援した。

同基金は、会員が、困難な状況に苦しむ人々に思いを馳(は)せ、食事などを抜いた費用分を献金する「一食を捧げる運動」(一食運動)の浄財によって運営されている。

現在の世界で人々を苦しめている貧困状況について、国連は、「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する説明の中で、貧困を終わらせるには、経済成長を確立し、教育、保健、社会的保護、雇用の機会などの「広範にわたる社会的ニーズ」に取り組む必要があると示している。しかし近年、気候変動による自然災害の増加や各地でエスカレートする紛争などの影響を受けて世界的に経済が混乱し、食料不足や物価高騰が引き起こされていることから、貧困状況は悪化の一途をたどっている。

こうした事態を受け、同運営委では「貧困(飢餓)の解消」に重点を置いて、計1132万4900円を拠出。国連世界食糧計画(国連WFP)による「ミャンマー学校給食プログラム」やマラウイ赤十字社(MRCS)の「学校給食プロジェクト」を助成し、子どもたちの栄養改善と就学率向上に寄与した。

バングラデシュ教会は、「海外教会・拠点一食プロジェクト」の中で、生活困窮者を対象とした医療サービスを提供した(同教会提供)

また、同委では、親から子どもへと困窮(こんきゅう)状態が繰り返される貧困の連鎖を断ち切るには教育支援が不可欠との観点に立ち、「教育・人材育成」を重点分野に設定。日本の子どもたちが一食運動を実践し、紛争の影響に苦しむ子どもたちに、手紙と共に彼らの必要品をギフトとして贈る「ドリーム・ギフト」をはじめ「フィリピン・バターン青少年人材育成事業」など9事業に計3537万8877円を活用した。

さらに、近年の自然災害の激甚化や紛争被害の増大に対応する国内外のパートナー団体を支えるため、「緊急救援・復興支援」に9918万2500円を拠出。このほか、聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体=本部・ローマ)と実施する「アフリカ・HIV/エイズ事業、出生登録事業」、浄財の一部を教会が主体的に活用して地元の非営利団体を支援する「一食地域貢献プロジェクト」などにも役立てられた。