防災力の向上に向けて 都宗連が都と協定

東京都宗教連盟(都宗連)と東京都による「東京都の防災力の向上のための連携協力に関する協定」の締結式が4月28日、東京都庁で行われた。同連盟の代表14人が出席。佐原透修都宗連理事長(立正佼成会総務部次長=渉外グループ)と小池百合子知事が協定書に署名し、手交した。

席上、挨拶に立った佐原理事長は、首都直下地震が危惧される中、同連盟に加盟する約4000の宗教法人が持つ施設の情報を東京都と共有し、発災時に各施設で、帰宅困難者の受け入れをはじめ、緊急車両への駐車スペースの提供、井戸水の活用など、迅速な救援活動に資する働きをする意向を示した。

これを受けて小池知事は、「私が常に申し上げているのが『備えよ常に――Be prepared』という言葉です。都と都宗連、市区町村が連携して前に進んでいけば、都民も安心だと思います」と語り、同連盟の防災協力に謝意を表した。

同連盟顧問として出席した、宗教者の災害支援活動に詳しい稲場圭信・大阪大学大学院教授は、「超宗派の連合体が都道府県の首長と災害支援に関する協定を結ぶのは日本初。こうした動きが全国に広がるきっかけになれば」と期待を寄せた。

東京都防災会議の発表では、首都直下地震などによる最も深刻な被害想定は死者6000人超、帰宅困難者約453万人。こうした事態に備え、教団本部は2015年、災害時における帰宅困難者の一時滞在施設に関する協定を杉並区と締結。最長3日間、1日あたり最大500人の帰宅困難者を本部施設で受け入れ、食料や飲料水を提供することなどを取り決めた。

全国の教会でも、市区町村をはじめ、町会や自治会などと災害支援のための協定を結ぶ動きが広がっている。横浜教会は、地震や津波が発生した際に避難場所として施設を提供する協定を横浜市と結んだ。沿岸部に位置する木更津、徳島、西条、高知の各教会も、津波に備えて自治体との連携協定を締結。また、豊島、江東、川崎教会などは、帰宅困難者の受け入れに関する協定を自治体と交わしている。このほか、仙台、会津、桐生、佐原、目黒、四日市、京都、姫路、津山といった教会も、災害時の協力を盛り込んだ協定を自治体などと結んでいる。