降誕会 いのちの尊さ伝え合う好機に(動画あり)

大聖堂での式典では、佼成育子園の園児が「きれいなお花」の曲に合わせて愛らしい遊戯を披露した
約2500年前の釈尊の誕生を祝い、仏教徒として教えに出遇(であ)えた悦(よろこ)びといのちの尊さをかみしめる立正佼成会の「降誕会」が4月8日、大聖堂(東京・杉並区)と全国各教会で挙行された。大聖堂には約1250人が参集。式典後には、コロナ禍を経て6年ぶりに「おねり供養」が行われ、19人の稚児(ちご)が元気に歩いた。
満開の桜が咲く中、多くの会員が大聖堂に参拝した。正面玄関前に設置されたのは、色とりどりの花に飾られた花御堂(はなみどう)。訪れた人たちは、誕生仏に甘茶を灌(そそ)いで釈尊の生誕を祝った。
式典では、読経供養が行われ、導師をつとめた熊野隆規理事長が庭野日鑛会長の啓白文を奏上し、聖壇上に設けられた花御堂に灌仏(かんぶつ)した。
千代田中央教会の男児(5)と杉並教会の女児(5)の「稚児讃歎(ちごさんだん)文」奏上、佼成育子園の園児による「きれいなお花」の曲に合わせた遊戯に続き、青森教会青年婦人部長(50)が体験説法に立った。
婦人部長は、次男が1歳の時に脳性麻痺(まひ)と診断され、健康に産めなかったと自分を責めた当時を詳述。次男の発育に不安を覚えたが、サンガと共に教えを学び、安堵(あんど)感を抱くことができたと話した。
また、手術と入院を経て自力歩行できるようになった次男が、困難と向き合い力強く生きる姿に寄り添い続けることで、かつての自責の念が、深い愛情をもって次男を見守る「悲母(ひぼ)」の心に変化したと吐露。家族やサンガのおかげで幸せに過ごせていると感謝し、今後も「私が救われたように、皆で教えを学んで、皆で幸せに向かって精進したい」と誓った。

降誕会は「花まつり」とも呼ばれ、仏教三大行事の一つに数えられる
この後、庭野会長が登壇して灌仏を行い、法話を述べた。庭野会長は、東井義雄氏の詩「誕生日」を朗読するかたちで、自分たちが先祖からいのちを受け継ぎ、この世に生きている有り難さを示した。
また、釈尊が降誕後に七歩歩き、「天上天下 唯我独尊 三界皆苦 吾当安此」と誕生偈(たんじょうげ)を叫んだ説話を紹介。七歩は、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上という迷いの六道を超え、悟りの境涯に至ることを表していると語った。
さらに、誕生偈には、仏の教えに遇(あ)うことで自身の尊さに気づくからこそ、他の全てのものの尊さにも気づかされるという意味があると解説。降誕会に際し、「私たちは手を携えて、いのちの尊さに目覚め合い、その心を次の世代に伝える好機にしていきたい」と投げかけた。

大聖堂を訪れた会員たちは、花御堂の誕生仏に甘茶を灌ぎ、釈尊の生誕を祝った
式典後には「おねり供養」が行われ、佼成雅楽会の先導で19人の稚児が、4階ホールから1階庭園広場までを歩いた。
おねり供養に参加した葛飾教会の女児(5)は、「たのしかった」とはにかみながら一言。その様子を見守った母親(45)は、「ご法話を通して、娘とのいのちのつながりを改めて実感しました。私自身も、娘に信仰の大切さを伝えられるよう、子どもの苗代(なわしろ)になる家庭をつくっていきたい」と語った。
なお、式典には、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際共同議長のヴィヌ・アラム博士(シャンティ・アシュラム会長)が参列し、庭野会長とあいさつを交わした。