「被災者への救援活動は諸宗教者のネットワークで」(海外通信・バチカン支局)

ミャンマー中部の同国第2の都市であるマンダレー近郊を震源に、3月28日、マグニチュード7・7の大地震が発生した。ミャンマー軍政は4月1日、ミャンマー地震の死者が2719人に達し、3000人を超えるとの予測を明らかにした。
大地震の発生当時、震源地の近くを車で移動中であったチャールズ・ボー枢機卿=ヤンゴン大司教、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会共同会長=は29日、「バチカンメディア」の取材に応じ、「路上の車がコントロールできないほどに揺れ、交通が完全に麻痺(まひ)状況に陥った。われわれの眼前で道路が陥没し、大きな穴が開いた」と、当時の模様を語った。「安全な場所を求めて、人々が路上を走り回る状況」を見たボー枢機卿は、「国軍のクーデター以降、4年間に及ぶ暴力、経済破綻、強制移住といった辛酸をなめてきた住民に、さらに苦しみが与えられることにがくぜんとする」とコメントした。
ボー枢機卿は、被災者への救援物資の配給が、政府、反政府の武装グループによって妨害、阻止されることを懸念する。そして、こうした緊急状況だからこそ、「和解、対話、和平が唯一の解決策」とならなければならず、被災者への救援物資の搬送、配給に関する最良のルートは、地方行政組織、諸宗教者、その土地の人道支援機関が協力して生み出すネットワ-クであると主張する。内戦によって、政府や国際・国内人道支援諸機関の全国ネットワークが破壊され、機能しなくなっているからだ。従って、ミャンマーのカトリック教会は、被災した地区の「カリタス」(カトリック教会の救援機関)と教区の関係者を招集し、「ミャンマー地震対応のための教会イニシアチブ」(MERCI)を創設。地方政府、諸宗教指導者やその土地に定着している救援機関と協力しながら、被災者への援助を展開していく意向を表明している。
一方で、ボー枢機卿は、通信の手段やインターネットも機能せず、配電も中断している地区での救援活動は容易ではないと指摘。「被災者が食料、避難所、医薬品、生活必需品の全てを必要としている」と訴え、「地震によって医療制度が崩壊しつつある」との非政府機関(NGO)の声を伝えている。ボー枢機卿は、ローマ教皇フランシスコが病床からミャンマー国民に宛てて送った電報を「国民の傷を癒やす香油」と呼び、「涙が、打ちひしがれたミャンマー国民を結びつけている」と言う。「自然の猛威のもとでは、人間は互いの違いを忘れる。人類が生き残れるとしたら、それは、他の人の涙に感動することを忘れなかったからだ」。
(宮平宏・バチカン支局長)