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インドで仏僧がハンガーストライキ
インド北東部ビハール州のブッダガヤにある、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産のマハボディ寺院(大菩提寺)では、2月12日から、寺院の管理体制の改革を要求する仏僧の抗議運動(ハンガーストライキ)が続いている。これに連帯して、ラダック地方の数千人の仏教徒が運動に参加した。ローマ教皇庁外国宣教会(PIME)の国際通信社「アジアニュース」が3月5日に伝えた。
マハボディ寺院は、紀元前3世紀にアショカ王によって建立された。伝説によると、ブッダ(釈尊)が悟りを開いた場所だとされる。その管理は1949年の大菩提寺管理法によって規定されており、ヒンドゥー教徒と仏教徒で管理委員会が構成される。9人の代表のうち、ヒンドゥー教徒は5人(委員長を務める地方行政官を含む)で、4人が仏教徒。デモ参加者は、宗教問題への国家の介入を排除し、この聖地の管理を完全に仏教徒のコミュニティーに委ねるために、現行の法律の見直しを要求している。
「1949年の法律に関して現在、進行している議論は、宗教の代表と統治に関するより深い問題を明らかにしています」と、マハボディ国際瞑想(めいそう)センターの指導者であるビク・サンガセナ師は述べ、仏教徒による同寺の自治を訴えている。「ヒンドゥー教の当局が、運営に継続的に関与していることは、しばしば歴史的な状況によって、特にインドで仏教の影響力が弱まった時代に、地元のヒンドゥー教の管理者が寺院の保存に果たした役割によって、正当化されてきました」と、同師は説明する。最近の仏教団体による全国レベルでの抗議活動は、この問題への対応が急務であることを浮き彫りにしている。
サンガセナ師は、「仏教発祥の地であるインドには、仏教遺産を保存し、尊重する特別な責任があります」と政府に要請。「仏教徒が多数派を占める国々とインドの外交関係を考慮すると、聖地における仏教徒の自治を確保することは、仏教遺産の保護者としてのインドの信頼を高める。実現可能な解決策としては、仏教徒に完全な管理権を保証するよう法律を廃止または改正し、同時にブッダガヤでのヒンドゥー教徒の歴史的存在を相応の敬意を持って認めること」と指摘する。
インド政府はこの問題について、公式な見解を発表していないが、同国のイスラーム史跡を巡ってムスリム(イスラーム教徒)とヒンドゥー教徒との間でも同じ問題が発生している。ハンガーストライキには、全インド仏教フォーラムやラダック仏教協会など500以上の団体が参加し、国内外で支持を得ている。スリランカ、タイ、ラオス、カンボジア、韓国、日本、米国、カナダ、モンゴルの仏教コミュニティーは、この抗議活動への連帯を表明している。