本会一食平和基金・令和7年度運営計画 総額2億1268万円を国内外事業に

「海外教会・拠点一食プロジェクト」では、バングラデシュ教会が貧困地域の児童に学用品を手渡した(写真提供:同教会)

本会一食(いちじき)平和基金の令和7年度運営計画がこのほど、同基金運営委員会(委員長=齊藤佳佑教務部長)から発表された。今年度の予算総額は2億1268万6千円。2024年から29年の同基金「中期方針」のテーマ『分断を越える“つながり”を築く』のもと、「教育・人材育成を軸とした貧困の解消」を目指して8分野の事業に浄財が活用される。

コンゴ民主共和国では、認定NPO法人テラ・ルネッサンスが展開する現地の紛争被害女性によるせっけん作りの事業を支援。地域の衛生向上と経済活性化に貢献している(写真提供:同団体)

同基金は、万物が大いなる一つのいのちに生かされた尊い存在であるという仏教の「一乗精神」に基づく共生世界の実現のため、会員が食事などを抜いた費用分を献じる「一食を捧げる運動」の浄財で運営されている。これまでに、国連機関やNGOなどと協力して、紛争や災害による人道危機への緊急支援など諸活動をサポートしてきた。

近年、世界では食料不足と栄養不良に直面する人が増え続けている。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)報告2024』によると、こうした傾向が進めば、30年に5億9千万人が依然として極度の貧困の中で暮らすことになると示されており、飢餓に苦しむ人々がさらに増えることが懸念されている。

本会が企画・実施する自主プロジェクトでは、スリランカ教会の包括地域にある学校で初等教育を受ける子どもたちに、文房具などが提供された。(写真提供:同教会)

同基金運営委員会では、世界の最貧困層の食料不足を解消し、飢餓の不安がない環境を整えることが持続可能な社会づくりに不可欠との観点から、「貧困(飢餓)の解消」を引き続き重点課題に設定。情勢が不安定なミャンマーで国連世界食糧計画(国連WFP)が展開する学校給食事業に500万円を助成し、子どもたちの栄養改善や就学率の向上に寄与する。

また、貧困の根本的解消には、教育機会の提供を通して、子どもたちが知識や技能を身につけて安定した仕事に就くことが重要と捉え、「教育・人材育成」の分野にも注力。「ドリーム・ギフト」「フィリピン・バターン青少年人材育成事業」「パレスチナ難民を対象とする看護師養成事業」など5事業に計2466万円を充当した。

このほか、温かな社会づくりを目指して本会の各教会が主体的に浄財を活用する「一食地域貢献プロジェクト」や、生活に困窮する韓国残留日本人女性を保護する「慶州ナザレ園」への助成も計画された。