学林大樹59期生、学林光澍大学科生が研究発表会
「学林光澍大学科専門研究発表会」には、約30人が参加した。この中で、光澍大学科生14人は自らの専門とする学問領域と仏教、法華経を結びつけて考察し、それぞれの理解を深める1年間の研究の成果を報告。『政教分離の判例からみる日本国憲法とアメリカ合衆国憲法』『ボスニア紛争と宗教間の和解』『宗教音楽について』『仏教とブランディング』など、多様なテーマで発表を行った。
『仏教経済学』を主題とした49期生(20)=松山教会=は、経済学の分野において、個人の自由や競争を重視する「自由市場モデル」と、仏教の簡素、非暴力を基本に「最小の消費で最大の幸福を得る」ことを目指す「仏教モデル」を比較し、それぞれが目指す「幸せ」の在り方を研究。自由市場モデルの「幸せ」は、個人の楽しみ、痛み・苦しみの回避などで得られるもので長期的な持続が難しい一方、仏教モデルの「幸せ」は、他者との関係性の中で生じ、痛みは人生の一部として受容されると紹介した。また、研究を通して「仏教経済学的幸せは他人を思いやる慈悲の精神によって生まれるものだと分かりました」と述べ、仏教経済学が、大量生産・消費に価値を置く現代の自由市場経済がもたらした社会の諸課題の解決につながるとの見方を示した。
『世界宗教思想史からみる教育の概念』について発表した47期生(22)=水戸教会=は、中世におけるカトリック、イスラーム、仏教の宗教教育の特徴について研究し、各教義に基づく道徳観・倫理観の育成、布教の推進といった共通点があったと説明。宗教教育は、個人の知的成長だけでなく、社会全体の調和を担う人材の育成としての役割を果たしていたと分析した。
最後に、杉野恭一学林学長が、全体の発表を受けて総評を述べた。