「一食オンラインスタディツアー」開催 パキスタンの人々と交流し、農業支援の現状を学ぶ
立正佼成会一食(いちじき)平和基金は9月21日、『本当の自立支援を知ろう!~大洪水(モンスターフラッド)から再び立ち上がるまで』と題し、「一食オンラインスタディツアー」(主管・渉外グループ)を開催した。
ツアーの模様は動画共有サイトを通じて会員・未会員ら約100人にライブ配信。視聴した参加者は、「一食を捧げる運動」(一食運動)の浄財が自然災害の被災地支援に役立てられている現状を学び、持続可能な社会貢献の重要性を確認して、平和への思いを新たにした。
同ツアーは、一食運動の実践者が支援先の人々とのオンライン交流を通じて国内外の社会問題について考え、運動への理解を深めるもの。今回は、同基金パートナー団体の認定NPO法人ジェン(JEN)と共に実施した。
当日は、同基金事務局長の秀島くみこ総務部主幹(渉外グループ)があいさつした後、ジェンの木山啓子事務局長が団体の活動概要について説明した。
続いて、同団体の松浦晃子プログラムオフィサーが、2022年に発生したパキスタン・シンド州での大規模洪水被害からの小麦生産の復興とコミュニティーの自立を目指した「シードシェア事業」を紹介。最初に地域農業のリーダーとして選んだ農家に先進的な農法を伝授し、作付けに優れた品種の小麦の種子を提供しながら、他の農家に指導できるようになるまで育成したと説明した。
その上で、農家同士で最新の農業技術を共有し、種子を融通し合うことで地域のつながりを強化・拡大しながら収穫量が安定するようサポートしていると詳述。今後も、コミュニティーの皆で支え合う関係を構築するために、緊急支援だけでなく、持続可能な自立を重視した支援活動に取り組むと語った。
次いで、支援先のパキスタンと中継をつなぎ、松浦氏が同団体の現地スタッフで農業専門家のアマナットさんに現地の復興状況についてインタビューした。アマナットさんは、他の被災者と同様に被害を受けたものの、地元で困っている人たちを助けたいとの思いで活動していると話した上で、最新の農業知識を生かしてジェンの事業に賛同する農家を指導した経験を披歴。小麦の収穫量は従来の2倍に伸び、今年も雨期に洪水被害が発生したが同農家の被害は比較的少なかったと報告した。これも一食運動に取り組む日本の人々が食事を抜いた費用分を献金してくれた真心のおかげと述べ、被害が甚大で事業に参加していない農家にも収穫作物などを届けている現状を語った。
この後、支援を受けた「リーダー農家」の女性のサミーナさんと男性のハフィーズさんを交えて質疑応答が行われた。日本にいる参加者からは、当時の被災状況や現在の暮らしぶり、ジェンのサポートに対する思いなどに関する質問が挙がった。
この中でサミーナさんは、夫と3人の子どもと暮らす中で洪水に遭い、作物の蓄えや家畜が流されて日々の食料に困り、農業再建のめどが立たずに絶望の淵にいた過去を述懐。その時にジェンから農業支援を受け、農作物の栽培に懸命に励んだ結果、リーダー農家として活動できて、支援を受ける側から支援をする側に立てたことで誇りを取り戻せたと語った。「これからは、被災した他の農家をもっと救えるよう農業指導に励みたい」と話した。
オンライン参加者からは、「浄財が現地の人々の生活に生かされ、喜ばれていてよかった」「シードシェアの活動は持続可能性があって素晴らしい」などの声が寄せられた。