上田教会発足50周年記念式典 会員の救い・救われをドラマで表現
迫真の演技で会場を魅了
ステージ中央に設(しつら)えられた巨大スクリーン。そこに「いのち」と大書された文字が現れた――。9月15日に行われた立正佼成会の上田教会発足50周年記念式典(長野・東御=とうみ=市文化会館 サンテラスホール)で、会員の救われた喜びをドラマ化した「ドキュメンタリーDRAMA『いのち』」が上映された。
周年記念式典でドラマ上映の話が持ち上がったのは昨年夏ごろ。会場側から宗教色のある演出にNGが出されたこともあるが、信仰による救い・救われをリアルに伝える手だてとして映像化することを髙橋一郎教会長が発案した。
同教会では現在、会員教育Ⅱの受講を推進している。受講者が、同教育を通して自らを振り返り、これからをどう生きていくのかを学んでほしいとの願いからだ。今回、このドラマの主人公になったMさん(54)=支部会計=も、その一人。Mさんは、さまざまな困難に遭遇する中で、助けてほしいという思いがあるにもかかわらず、本音を吐けずに強がってしまい、自身をつらい状態に追い込んでしまっていた。サンガ(教えの仲間)との関わりで心の底にある本音が引き出され、素直な心になることの大事さに気づいた体験を会員教育Ⅱによって得た。
ドラマでは、Mさんが昨年11月に行った体験説法を下地に、髙橋教会長がドラマ用に構成を考え、支部長(49)がシナリオを作成した。「私の説法をドラマ化すると聞いたときは冗談かと思いました。み教えのおかげさまで救って頂いた喜びを映像で分かってくださったらうれしいです」とMさんは語る。
今年4月、撮影を開始。Mさん本人が主演を務め、実際に関わった支部長や主任が共演した。「Mさんと縁を持った方々に出演してもらいました。支部長さんが指導するところやMさんの気づきの場面などは、演技を通り越して真に迫っていました」と髙橋教会長は賞賛の言葉を贈った。
映像では、相手の心に入り込めないと悩むMさんにアドバイスを送る支部長の必死な表情に、会場が静まり返った。また、Mさんが引きこもっていた娘と涙を流し、強く抱きしめるシーンに目頭を押さえる人もいた。
Mさんが桜並木を自転車で走りながら、「まさかこんな日がくるとは思っていなかったなぁ」と明るく回想して幕が下りると、約500人の参集者から惜しみない拍手が送られていた。
式典終了後、Mさんは多くの人に囲まれ、激励の言葉を受ける。その一人ひとりに握手やハグで応えながら、力を込めてこう語った。
「これからは私が苦を持つ方々の声を聞き取れる人になりたいです」