西日本教区「リモート平和学習会Ⅳ」 日常に潜む傍観と偏見を考える

学生たちは傍観したり、偏見を持ってしまったりした自分を見つめ直し、日常生活から平和を創り出す方法を考えた(Zoomの画面)

『今、語り合い、踏み出す。平和へ向けた確かな一歩。』をテーマに、立正佼成会西日本教区の「リモート平和学習会Ⅳ」(リモ学Ⅳ)が7月28日、ウェブ会議システムを使って開催された。27教会の学生部員ら約160人が各教会や自宅から参加した。

リモ学は2021年に始まり、青年が戦争の悲惨さを学び、平和について考える場をオンラインで提供してきた。コロナ禍の規制が緩和され、広島や長崎、沖縄などの戦跡を訪れる学習会が各支教区で再開されたことから、同教区はリモ学の意義を再検討。「日常に潜む平和を脅かすもと」を切り口に、SNS依存や友人との距離感など、若者の「生きづらさ」を題材とした内容に一新した。

進行役の青年教務員が、「平和を脅かすもと」である傍観と偏見について紹介

当日は、青年教務員を進行役にグループワークが行われた。この中では「平和を脅かすもと」の例として、物事を見て見ぬふりをする「傍観」、偏った情報を信じて決めつける「偏見」の二つを提示。SNSの投稿を発端としたいじめなど、傍観や偏見から生じる社会問題が紹介された。

参加者は教会ごとに分かれ、家庭や学校で傍観したり、偏見を持ってしまったりした体験を発表。「いじめを見た時、自分に飛び火するのが怖くて何もできなかった」「他人を外見だけで子どもっぽい、大人っぽいと決めつけていた」など、一人ひとりが自身を省みて語り合った。

また、平和な状態を創り出す取り組みも話題に上った。相手の思いを尊重し、敬意を持って接する必要性を確認したほか、いじめや差別に対し、同じ問題意識を持つ仲間をつくって解決を目指すなど、意欲的なアイデアが交わされた。

石川さんはディスカッションで、「まずは自分がどんな色眼鏡を持っているかを知るのが大事」と語った

この後、学林大樹59期生の石川あみかさん(23)=京都教会=と青年教務員のディスカッションに続き、仏教精神に基づいた平和観の研修を実施。傍観したり、偏見を持ったりする自分を認めるには勇気がいるが、それによって間違いを犯した他者を赦(ゆる)し、癒やす心を育てる大切さを分かち合った。

学生たちはワークを通じて、身近な場面にある「平和を脅かすもと」を真剣に探究した。鹿児島教会で語り合いの進行役を担った学生部長(33)は、教会に集った中高生が、家族の介護や教師との衝突など、周囲の偏見に苦しんだ体験を涙ながらに打ち明ける様子が印象に残ったという。

「学生部のみんなには、どんな思いも丸ごと受けとめると話しました。私自身も、価値観の異なる相手によく偏見を持ってしまいます。今回のリモ学を機に、そんな自分の弱さも認め、人さまに優しくできるものの見方を身につけられるよう精進していきます」