イスラエルに武器を売るな――米国ユダヤ教徒たちの抗議(海外通信・バチカン支局)

あらゆる国際法、国連決議案、国際人道法を無視してパレスチナ領ガザ地区での軍事活動を継続し、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムの占領と入植を正当化する、イスラエルのネタニヤフ政権。同政権を構成するユダヤ教極右勢力は、パレスチナの領土に対し、ヨルダンと同様に「大イスラエル」の一部を成すとの説話を定着させようと試みている。

イスラエル議会は7月18日、「パレスチナ国家の樹立が、イスラエルの国家と国民に存亡の危機をもたらす」との理由で、パレスチナ国家建設に強く反対する決議案を採択した。同議会は今年2月にも、スペイン、アイルランド、ノルウェーなどがパレスチナ国家の承認に動いていることを察知し、パレスチナ国家の樹立に反対する決議案を採択している。「現時点でパレスチナ国家の樹立という理念を追求することは、テロに対する報奨であり、ハマスと、その支持者たちの勝利を後押しし、中東で聖戦主義者たちによる権力の掌握を助長する」というのが、イスラエル政府側の言い分だ。

一方、国際司法裁判所(ICJ)は19日、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸や東エルサレムなどでのイスラエルによる占領政策が、「国際法に違反している」との「勧告的意見」を発表した。今回のICJによる勧告的意見は、2022年12月に国連総会が採択した決議案による要請を受けたもの。この中で、「イスラエル国家は、パレスチナ領土の違法占拠をできるだけ早期に停止し、新たな入植活動の中止と同時に、全ての入植者を撤退させ、及ぼした被害を補償すべき」と伝えている。

だが、イスラエルのネタニヤフ首相は、「ユダヤ国民は、(ヨルダン川西岸をも含む)自身の土地や、われわれの永久(で分割できない)の首都であるエルサレム(東エルサレムはパレスチナ領)、さらには、われわれの先祖代々からの土地であるユダヤ・サマリア地区(ヨルダン川西岸)を征服しているのではない。ICJの勧告的意見は、この歴史的真実と、われわれの国家による全地域でのユダヤ人入植活動を歪曲(わいきょく)するものだ」と反論した。ユダヤ教極右政権にとって、パレスチナ領のヨルダン川西岸地区や東エルサレムは、すでに「イスラエル領土」なのだ。