教皇が2025年の聖年を布告 1975年の聖年には本会も参加(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコは5月9日、バチカンのサンピエトロ大聖堂にある「聖年の扉」の前で、2025年に迫る定例聖年の開催を布告した。聖年のテーマは、『裏切られることのない希望』。「聖年の扉」は、25年ごとの定例聖年や、特定のテーマを掲げて開催される特別聖年の時に開かれる。

カトリック教会の聖年は、罪人である人間に対する「神からの恩赦の年」「改心と神、人間のあいだでの和解の年」とされ、人間同士での「連帯、希望、正義、他の兄弟姉妹たちと共に、喜びと平和のうちに神に奉仕する年」でもある。聖年中には、世界から数百万人のカトリック信徒がローマに参集するとされている。

キリスト教史における聖年の起源は、旧約聖書の「モーゼの律法」にまで遡(さかのぼ)る。最初の定例聖年は、1300年に教皇ボニファティウス八世によって開催された。欧州大陸で斜陽にあった、中世のキリスト教を再建しようと努力したアッシジの聖フランシスコの逝去から74年後のこと。憎悪と闘争が蔓延(まんえん)する社会の中、キリスト教界で「霊性、赦(ゆる)し、友愛による刷新の波」が発生していることを感知し、招集されたものだった。

教皇フランシスコは、2025年の定例聖年を布告した後、サンピエトロ大聖堂で執り行った夕刻の祈りの説教で、「現在のみに気を取られ、未来を見通せない社会」「灰色の個人主義と、その日暮らしというメンタリティーの中で、自身を引きずるようにして歩む現代社会」「深く傷つけられ、人間の利己主義によって略奪された創造界(自然環境)」が、「希望を必要としている」と訴えた。

また、「不正義が傲慢(ごうまん)な態度で継続され、貧者が見捨てられ、戦争が死をまき散らし、社会の底辺にいる人たちが末席に座らされ、友愛を基盤とする社会が蜃気楼(しんきろう)になっている。そうした、不安と恐怖に満ちた明日へと向かう、諸国民と諸国家も希望を必要としている」と述べた。

25年の定例聖年は、前年12月24日(クリスマスイブ)にバチカンのサンピエトロ大聖堂にある「聖年の扉」が開かれることで開始。26年1月6日の閉扉をもって終了する。