WCRP国際委と日本委、UNAOC共催「第2回東京平和円卓会議」 紛争地の宗教者らが集い、和解に向け対話(動画あり)
19日、同日本委理事の黒住宗道・黒住教教主と同国際共同会長のチャールズ・ボー枢機卿(ミャンマー・ヤンゴン大司教)による平和の祈りに続いてオープニングセッションが行われ、同日本委評議員の杉谷義純・天台宗妙法院門跡門主が歓迎のあいさつに立った。
この中で杉谷師は、神仏の教えをもとに人間のあるべき姿を示し、未来へと行動することが宗教者に課せられた使命と明示。世界各地で起きる暴力や対立、分断による悲劇を一刻も早く止め、人々が平和と安心のうちに生きられる世界の実現を目指すことが、同会議の目標と述べた。
また、紛争の原因のほとんどは我欲の衝突によるものであり、他者の立場に思いを馳(は)せることが、紛争解決で最も重要と強調。「宗教者が協力・連携を深める中においてこそ、この厳しい状況に光明が見いだせる道が拓(ひら)けていく」と語った。
次いで、同国際共同議長を務めるエマニュエル・アダマキス府主教(トルコ・カルケドン長老府主教)、ヴィヌ・アラム博士(シャンティ・アシュラム会長)、シェイク・アブドラ・ビン・バイヤ師(アブダビ平和フォーラム会長、録画映像)、同国際名誉会長のムニブ・A・ユナン師(ヨルダン・聖地福音ルーテル教会名誉監督)、ミゲル・アンヘル・モラティノス国連事務次長(UNAOC上級代表、録画映像)、WCRP/RfP国際活動支援議員懇談会共同代表の岡田克也元外務大臣が発題を行った。
このうちビン・バイヤ師は、宗教は世界の救済と慈悲をもたらす存在であり、さまざまな手段を講じて平和の実現に貢献することが求められていると説明。「私たちは宗教指導者として戦争の終結、対話と和解を普及させるよう呼びかけなければなりません」と述べ、同会議を通じて戦争の終結に貢献できる実践的な提言やイニシアチブが打ち出されることを念願した。
また、モラティノス氏は世界各地で戦争や紛争、対立が生じている現状に憂慮の念を示し、社会の分裂は危険水域にまで達していると指摘した。こうした時だからこそ対話が重要な役割を果たすと語り、円卓会議で実りの多いディスカッションが行われることに期待を寄せた。
一方、岡田氏は、宗教や民族が政治的に利用され、紛争を正当化する事例が増加している現状と、憎悪や暴力の連鎖が世界的に拡大し、国際政治や国際機関がそれを抑止できない実状に懸念を表明。こうした憎しみや敵意の連鎖を断ち切り、武装を解除するためには諸宗教者の取り組みが重要と述べ、超党派の懇談会として、「政府とは異なる柔軟な立場から、宗教者の皆さんの得られた成果を建設的な政策提言に活かしてまいりたい」と語った。