釈尊の教えかみしめ「涅槃会」 庭野会長が法話 法縁に触れた有り難さ伝え広め、さらなる菩薩行を(動画あり)

釈尊が入滅したとされる2月15日に行われた涅槃会。会員たちは、釈尊が残した「全ての現象は移りゆくものである。怠らず努めよ」との言葉をかみしめ、仏道精進を誓った

釈尊の遺徳を偲(しの)び、入滅時に説かれた「自灯明、法灯明」の教えをかみしめながら、布教伝道の実践を誓う「涅槃会(ねはんえ)」が2月15日、立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)をはじめ全国各教会で行われた。大聖堂には会員約600人が参集。式典の模様はインターネットでライブ配信(会員限定)された。

式典は、佼成箏曲部の序奏で厳かに開幕。聖壇に釈尊入滅の様子を描いた涅槃図が掲げられ、映像作品『釈尊涅槃』が上映された。次いで、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が厳修され、庭野日鑛会長の啓白文が奏上された。

庭野会長による啓白文を奏上した光祥次代会長

続いて、甲府教会支部長(66)が体験説法を行った。支部長は、建築の仕事で負傷した夫が、治療で世話になった人物に頼まれて借金の保証人となり、一家で生活苦に陥った過去を明かした。当初はその人物を恨んだが、教会長に「恨む心からは何も解決しない」と諭され、夫の命を助けた恩人だと思えるよう努めると決意。さまざまに湧く思いをサンガ(教えの仲間)に受けとめてもらい、心を整えた日々を回想した。

また、昨年、支部長でありながら組長から預かった生誕地まつりの参加費を紛失してしまった時のことを述懐。そのことを責めるどころか、夫の優しさに感謝できなかった自分を内省する組長との縁を通し、借金を抱えた夫をとがめるばかりで、「相手を助けてあげたい」という夫の思いに気づけなかった自分をサンゲできたと吐露し、家族のために頑張ってきた夫への感謝を伝えられた喜びを語った。

これまでの試練を乗り越えられたのは、温かいサンガの支えと教えのおかげだと述べ、「心田を耕しながら幸せの道を歩ませて頂くよう、努力精進させて頂きます」と誓願した。

当日の様子(クリックして動画再生)

法話に立った庭野会長は、釈尊入滅を意味する「般涅槃(はつねはん)」の意味合いに言及。釈尊は入滅によって身体という形を失うことで、心の中の自我や煩悩を脱して法と一体となり、人々に「無常」の事実を示したと解説した。その上で、生あるものは必ず死に至るが、釈尊が身をもって示した死とは単に命が失われることではなく、生死の苦界を脱して宇宙の大生命に帰る大いなる「さとり(般涅槃)」であると強調。そのような釈尊の遺徳に感謝の誠を捧げ、精進を誓うことが、「涅槃会の法会の目的であります」と説いた。

また、仏教は「無上の教え」であるとの言葉を紹介。「無上」とは「上限がない」との意味であり、仏の教えを学ぶ者同士、「私たちの一生涯は修行の一生だと、そのように受け取っています」と語った。

さらに、水泳のメドレーリレーを例に挙げながら、一人ひとりの人生には役割や特徴があり、各自がその持ち前を発揮して自分の区間を完走し、次の世代にバトンタッチしながら生きているように感じると吐露。親から子へ、子から孫へといのちが継承されていくのと同時に、信仰者として法縁に触れた有り難さを多くの人に伝えることで大勢の人が救われる、そのこともバトンタッチであると説示し、涅槃会を機に「仏さまの教えを頂く者同士」がさらなる菩薩行を誓願することが大切であると述べた。