モザンビークを訪れた「アフリカ毛布ボランティア隊」 人々を守り、心のぬくもりをもたらす日本の毛布

「アフリカ毛布ボランティア隊」(立正佼成会会員、認定NPO法人「JHP・学校をつくる会」のメンバーで構成)の一行22人が、4月29日から5月7日まで、アフリカ南東部のモザンビークを訪れた。現地NGOの「クリマ(KULIMA)」と「共同体開発キリスト教協会(ACRIDEC)」の協力のもと、日本から届けられた毛布6868枚のうち315枚を配付したほか、過去に毛布を受け取った人々の元を訪ねた。隊員と現地の人々の姿を追った。

羽田空港を飛び立って約18時間。隊員がモザンビークの首都マプトに降り立つと、アフリカの熱い風が頬をなでた。

モザンビークはアフリカ大陸の南東部の海沿いに位置する。国土は日本の約2倍。1975年に宗主国のポルトガルから独立を果たすが、その後、15年間にわたる内戦に国民は苦しめられた。現在、経済成長を遂げるものの、マラリアをはじめとした風土病の蔓延(まんえん)やHIV(エイズウイルス)感染者の増加などが深刻な社会問題となっている。また、近年の干ばつや豪雨による洪水の影響で、国民の8割を占める農業従事者が大打撃を受け、極度の貧困状態にある。

こうした現状の中、KULIMAとACRIDECは、生活困窮者に対する農業技術指導などを行い、村人の自立を支援するプロジェクトを展開してきた。日本から送られた毛布は、両団体と地域の担当者らが協議を重ねた末、HIV感染者や孤児、災害や病気などで夫を亡くした女性、心身に障害があり施設で生活する最貧困層の人々に配付されている。

隊員たちは、KULIMAのドミニコ・ルイッチ代表から、村人と共同で手掛けるプロジェクトについて説明を受けた後、昨年に毛布を受け取った村人の家庭に向かった。

隊員らを乗せたバスは、2時間かけて、首都から約60キロ離れたマプト州ボアネ郡ラジオマルコニに着いた。村人たちは、早朝からの激しい雨でぬかるんだ赤土の泥道をサンダルや裸足で歩き、泥だらけになりながら、隊員の到着を待ち望んでいた。

ラジオマルコニは電気が通っておらず、コンクリートブロックの壁にトタン屋根の家屋が点在する小さい村だ。そのうちの一軒を訪ねた。ラベッカ・フィリピ・サンボさん(70)は、「息子夫婦と孫の5人で生活しています。頂いた毛布は、孫たちが寝る時に身体を包むようにして使っています。農業で生計を立てていますが、収穫は天候に左右されるため、安定した収入はありません。干ばつが起きれば、生活はさらに厳しくなります。毛布は、私たち一家を朝晩の寒さから守ってくれるとともに、心にぬくもりを与えてくれます」と語る。家庭を訪問した隊員たちは、都市部で暮らす人々との貧富の差が激しい現実に直面し、毛布一枚の果たす役割の“重み”を肌で感じた。

今回、隊員は毛布315枚を、孤児やHIV感染者、心身に障害のある子供などに配付した。マプト州マトラ地区にある幼稚園では、病気のため自力で動くことが難しく、一日中ベッドの上で過ごす子供が暮らしている。職員の手で毛布を掛けられた子供たちにカメラを向けると、ほほ笑んでくれた。

「カニマンボ」――。村人が日常語として使うシャンガナ語の「ありがとう」だ。毛布を受け取ると、村の人々は満面に笑みを浮かべ、隊員にお礼の言葉を掛ける。隊員も「カニマンボ」と応じる。配付の現場では、隊員と受け取る人が見つめ合い、抱きしめ合うシーンをファインダー越しに何度も目にした。そこには、支援する側、支援される側という隔たりはなかった。

「生活が苦しくても、食料を分け合い、助け合いながら生きる現地の人々に触れ、人を思いやる心の大切さに改めて気づかされました。“心の豊かさ”とは何かを自分自身に問い掛けながら、思いやりにあふれた世界が実現できるよう、この運動を続けたい」と、現地を訪れた札幌北教会会員(54)は今後の意気込みを語った。

配付活動を終えると、ACRIDECのジョアオ・デイビッド・ムトンベニ代表が、「皆さんに会わせたい赤ちゃんがいる」と隊員たちに声を掛けた。案内された先には、年配の女性に抱えられ、青色の薄い布にくるまれた生後1カ月の新生児が、青空に向かって力強く泣いていた。

ムトンベニ氏は、「この女の子の母親は、出産直後に亡くなりました。父親もいません。そして、まだ彼女に毛布は届いていないのです。この子に毛布が届けられる日が来るよう、どうか、皆さん、この運動を続けてください」と訴えた。

すっかり日が暮れて辺りは闇に包まれた。帰路、隊員たちは、バスの窓から、満天の星を仰ぎ見た。<毛布を必要としている人は星の数ほどいるに違いない>。アフリカのきらめく星空を眺めながら、この活動に精いっぱい取り組もうと隊員一人ひとりが誓った。

立正佼成会会員、認定NPO法人「JHP・学校をつくる会」のメンバーで構成された「アフリカ毛布ボランティア隊」