TKWO 第162回定期演奏会 街の情景を表情豊かに
東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)による「第162回定期演奏会」が9月8日、東京・中野区のなかのZEROで開催された。テーマは『街の情景』。来場した800人を超える聴衆は、ニューヨークと江戸の街中に身を置き、時空を超えて音楽に酔いしれるひとときを過ごした。
演奏会の幕開けは、J・マッキー作曲の「アスファルト・カクテル」。TKWO首席客演指揮者の飯森範親氏がタクトを振ると、しんと静まった会場に、スピーディーで、強烈なリズムが響く。続く「マンハッタンの情景」(J・ヴァンデルロースト作曲)はクールな曲調、3曲目には“サイレンが鳴る曲”として知られる「イーストコーストの風景」(N・ヘス作曲)を奏で、観客はニューヨークの喧騒(けんそう)を一気に駆け抜けた。
前半の演奏後、飯森氏があいさつに立った。悪天候の中での来場に感謝を伝えた後、吹奏楽ポップスの人気シリーズ「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」(NSB)の再始動を目指し、TKWOがクラウドファンディングに取り組んでいることを紹介した。
後半の舞台は、ニューヨークから場所も時代も一変して、江戸へ。「交響曲第2番《江戸の情景》」(F・チェザリーニ作曲)を披露した。この楽曲は、歌川広重の「名所江戸百景」から選んだ5枚の浮世絵を音楽化した作品で、大地震からの復興を象徴する七夕祭、日暮里の寺院、花見客が集う桜の名所など、江戸の賑(にぎ)わいと静寂を交錯させながら表現。壮大なスケールの中に日本の旋律が登場し、聴衆は江戸の情緒を味わい尽くした。
演奏終了後、さまざまな「街の情景」を楽しんだ聴衆から、大きな拍手が送られた。
ニュー・サウンズ・イン・ブラス(NSB)
さまざまな楽曲を吹奏楽に編曲した楽譜、CDのシリーズ。2020年の第48集以降、リリースが途絶えているNSBの復活・継続を目指して、TKWOがクラウドファンディングに挑戦しています。詳しくはプロジェクトページ(https://readyfor.jp/projects/NSB2024)にアクセスを。