本会一食平和基金 令和4年度運営報告 国内外事業に総額1億8603万円
立正佼成会一食(いちじき)平和基金の令和4年度運営報告が先ごろ、同基金運営委員会から発表された。昨年度の拠出総額は1億8603万8587円。同運営委の中期運営方針(2018~23年)に沿い、一乗精神に基づく共生世界の実現に向けて、「貧困(飢餓)の解消」「教育・人材育成」の重点項目をはじめとする7分野に活用された。
本会一食平和基金はこれまで、紛争や貧困など人権に関わる国内外の社会課題に迅速に対応しながら支援を行ってきた。その活動は、会員が月に数回、いのちを脅かされる全ての人に思いを馳(は)せ、食事を抜いて献金する「一食を捧げる運動」(一食運動)の浄財によって支えられている。昨年度も、本会が独自に行う「自主プロジェクト」や、外部団体と協力する「合同プロジェクト」の各事業を支援した。
同基金が目指すのは、「全ての生きとし生けるものが、大いなる一つのいのちに生かされた尊い存在である」との仏教の教えに基づき、互いを尊重し合い、調和し合う「一乗」の世界を築くこと。その支援の輪はあらゆる分野の事業に広がっている。
昨年、国連世界食糧計画(国連WFP)などの国連機関が共同で公表した資料によると、世界の飢餓人口は約8億2800万人と報告された。これを受け、重点分野の「貧困(飢餓)の解消」では、「アフリカへ毛布をおくる運動」、国連WFPの「ミャンマーにおける学校給食」のプログラムに計5959万3253円を拠出した。
このうち、「ミャンマーにおける学校給食」では、クーデターの混乱が今も続く同国で貧困地域の子供に学校給食や栄養強化ビスケットを配布し、就学率を向上させる活動を支援した。
また、もう一つの重点分野である「教育・人材育成」では、文化や宗教の違いを理解して信頼関係を醸成できる人づくりを推奨。さらに、世界中の人が少欲知足の精神で簡素な生活を送ることが、貧困や差別のない社会の実現に不可欠との観点から、「親子で取り組むゆめポッケ」や「カンボジア仏教研究復興支援事業」など8事業に計3698万5542円を拠出した。
この中で、「カンボジア仏教研究復興支援事業」では、約20年続いた内戦によって崩壊した国教(仏教)と精神文化を復興するため、出版や広報、講演などの諸活動を支援。これにより、研究活動が活性化して同国での仏教研究所の存在感が高まった。また、国際協力NGOセンター(JANIC)の「国内NGO育成支援」では有志NGOによるワーキンググループが複数設立。共通する課題解決のための情報が共有され、分野を超えたネットワークが強化された。
さらに、「緊急救援・復興支援」では、昨年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻で発生した避難民へ緊急支援を展開。ほかにも、一昨年2月のミャンマーでの軍事クーデターによる難民支援や、昨年6月に発生したアフガニスタン東部大地震の被災者救済など計8件の天災や人災に関する人道支援を行った。また、東日本大震災とその後の原発事故で被災した福島県の復興支援に従事する9団体に助成するなど、計5990万2500円を拠出した。
このほか、生活に困窮する韓国残留日本人女性を保護する「ナザレ園」(韓国・慶州市)の支援、「一食地域貢献プロジェクト」への助成を実施。マラウイ赤十字社(MRCS)が進める「学校給食プロジェクト」では、現地の子供たちの栄養改善と学力向上に加え、食材を栽培する耕作地の拡大や農耕技術の伝授を通して雇用を拡大する取り組みが行われており、こうした活動にも浄財が活用された。