埼玉教会が発足70周年 会員一人ひとりが持ち味を発揮し、喜びと感謝の思いに満ちた記念式典

除幕式を見守るため、参列者たちが続々と窓際に集まった

立正佼成会埼玉教会は、長沼妙佼脇祖の出身地(埼玉・加須市)にある。4月2日、教会道場の正門横に、緊張した面持ちで紅白の綱を手にした少年部員たちが整列した。この日、教会発足70周年を祝う記念式典とともに、記念事業として制作した“看板”の除幕式が行われた。

看板には、「これからもみんなが笑顔でいられるように」との願いを込めて作られた70周年記念シールが貼られた

同教会は70年の節目を迎えるにあたり、昨年6月、幼くして病死した長沼脇祖の愛娘(まなむすめ)「市子ちゃん」を偲(しの)ぶ場所を造りたいと、周年実行委員会の事業部による記念事業「市子ちゃんのおにわ」を始動。教会道場内からでも、庭で遊ぶ子供たちの様子が一目で見える正門横の芝生一帯が選ばれた。取り組みの皮切りとして制作した看板には、コンクリート製の丈夫な土台作りや、鉄板をくりぬいて加工するなど、事業部スタッフの特技を結集した。

2日、除幕式に先立って記念式典が行われた。松の木や色とりどりの花に囲まれた教会道場の入り口では、周年記念に携わる実行委員たちが、参列者を笑顔で迎えた。インターネットによるライブ配信の視聴を含め、約300人が参加した。

式典では、松森一晃教会長を導師に読経供養、庭野日鑛会長の啓白文の奏上に続き、女性会員(70)=組長=が体験説法。家族の病死に傷心し、家にこもる長男との触れ合い方に迷う中、サンガ(教えの仲間)に支えられながら、「現象は全て自分に必要なこと」と信じて修行に励み、日々の生活は奇跡の連続だと気づけた喜びを発表した。

式典前日、完成した看板を慎重に設置する様子。準備していた事業部は、除幕式まで緊張の時を過ごした

講話に立った齊藤佳佑埼玉支教区長は、子供が持つ承認欲求は、親の「ありがとう」で満たされると紹介し、身近な出来事への「感謝の感度」を高め、相手に伝えていく大切さを述べた。

記念式典終了後、待ちに待った除幕式だ。4人の少年部員が、看板を覆っている紅白の幕を音楽に合わせて取り払う。松に止まった3羽の小鳥と、にこやかに合掌する長沼脇祖のイラストとともに、「みんなでつくろう! 市子ちゃんのおにわ」の文字が現れると、参列者から盛大な拍手が上がった。

事業部チーフで渉外部長の男性(76)は、「愛娘の“市子ちゃん”として、庭で戯れる子供たちだけでなく、大人の私たちも脇祖さまのお慈悲に包まれています」と話す。

今後、『みんなでつくろう』を合言葉に世代を超えて集える場所を目指し、3年かけて遊具や四季折々の花を植えた花壇などを造っていく。