復活祭は死から生命への過ぎ越し――教皇が「復活祭のメッセージ」(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコは4月9日、バチカン広場でキリストの復活を祝うミサを司式した後、サンピエトロ大聖堂の中央バルコニーに立ち、世界に向けて「復活祭のメッセージ」を発信した。バチカン広場とその周辺には世界各国から約10万人の信徒が参集し、教皇の言葉に耳を傾けた。その模様は、「ワールドビジョン」でライブ中継された。
教皇は、メッセージの中で、キリストの復活が「人類にとって死から生命への過ぎ越し(移行、彼岸)という決定的な意味を持つ」と強調し、特に、「病者、貧者、老齢者、試練と苦労に遭遇している人々にとって、苦難から慰めへの過ぎ越し」であると励ました。
そして、キリストの復活を最初に目撃した女性たちが、「急いで復活のニュースを伝えようとした」という聖書の記述に言及。「紛争と分裂を克服し、私たち(の助け)を必要としている人々に対して、私たち自身が心を開け広げるように急ごう」「平和と友愛の道程を辿(たど)ろう」と呼びかけた。しかし、教皇は、復活したキリストへ向けて急ぐ私たちの歩みが「多くの躓(つまず)きの石」によって困難なものになっているとも指摘した。
また、「愛するウクライナ国民が平和への道程を歩み、(キリストの)復活の光明がロシア国民の上にも射(さ)すように支援していこう」とアピール。「国際社会が心を開け広げ、ウクライナ侵攻だけでなく、世界で血を流す全ての紛争を停止させるために努力していこう」と願い、「和平をいまだに待つシリア」「トルコ・シリア大地震に苦しむ人々」への支援も要請した。
さらに、教皇は、キリストの復活を最初に目撃した聖都エルサレムで広がる紛争の状況に「強い憂慮」を表明。「ここ数日間の攻撃が、期待されていた相互信頼と尊重を危機に陥れており、イスラエル人とパレスチナ人との間の(直接的な)対話が急務となっている」と訴えた。