「青年の日」通年の取り組み 青年部員一人ひとりが日々の実践を見つめ、社会貢献の意識を高め合う

地元フードバンクなど支援 力を合わせて、稲や野菜育てる

小倉教会青年部は、今年5月から10月にかけて、田んぼに見立てたバケツで稲を育てる「バケツ稲」作りを各家庭で行った。

企画の発端は、同教会がフードロス削減を目指し、地元のフードバンクへの支援を計画したこと。青年部でも食料の寄付を試みたが、一人暮らしの学生や社会人は自身の生活で手いっぱいで、十分な量を提供するのが難しい。そこで、全員が力を合わせて取り組めるよう検討を重ね、自分たちで米を作ることを決めた。

毎日の水やりなど、子供たちも熱心に稲の世話を続けた(小倉教会提供)

バケツ稲は、日本の主食である米が取れる稲の成長を家庭内で体験でき、食育の観点からも注目される取り組みだ。コロナ禍で対面の活動が制限される中、初めての挑戦となった。

「青年の日」の啓発日に位置づけられた5月15日、青年五部長らがバケツや土、苗約100組分を用意。育て方を紹介する資料を添え、各家庭に配送した。

稲の成長には毎日の水やりをはじめ、日当たりや風通しなどさまざまな条件が不可欠となる。稲作経験のない青年部員も、家族や農業を営むサンガ(教えの仲間)の支えを受け、試行錯誤しながら世話を続けた。

参加者からは、「バケツ稲のおかげでいのちを育てる難しさを知った」という感想や、「朝の水やりを通して、家族と触れ合う時間が増えた」「子供が稲を熱心に見守ってくれて、お米も残さず食べるようになった」など、喜びの声が多く寄せられた。

10月に入り、教会道場には、バケツの中で豊かに実り、刈り取られた稲穂が続々と届いた。道場の敷地内で育てた稲も含め、収穫された米は、精米を経て、地元のフードバンクに寄付される予定だ。

青年部長(50)は、「コロナの状況が不安でしたが、みんなで智慧(ちえ)を出し合い、時代の流れに沿った『青年の日』の活動ができました。今後も協力して頑張りたい」と話した。

稲刈りを体験した熊本教会の青少年部員。豊作を喜ぶとともに食の大切さを学んだ(同教会提供)

このほか、熊本教会でも、青少年部員が田植えや稲刈りを体験するプログラムが通年で行われた。同時に、各支部ではジャガイモやサツマイモ、トウモロコシも育てられ、合わせて約70人が参加した。収穫米や野菜は子ども食堂への寄付や、食育を願いとして、教会での餅つきに活用される。