全国教会長人権学習会 孤立、自殺・自死問題の実態学ぶ

オンラインで講演した認定NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センターの村明子理事

9月7日、「全国教会長人権学習会」がオンラインで開催された。立正佼成会の人権啓発委員会(委員長=和田惠久巳総務部部長)によるもので、仏教精神を基盤に部落差別問題をはじめとする一切の差別の解消を目指し、人権意識の向上を目的に、毎年実施している。今年は、コロナ禍で浮き彫りとなった孤立、自殺・自死問題の実態を学び、宗教者として果たすべき役割や使命を確認することがねらい。

当日は『「死にたい!」心の叫びに向き合う』をテーマに、認定NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター理事で研修委員長の村明子氏が講演した。

村氏は長年、電話相談員として希死念慮(死にたいという思い)を抱えて苦しむ人々の声に耳を傾けている。講演では、日本の自殺者数の推移を年代別、男女別に見た後、コロナ禍において自殺者が増えている背景として、「社会の先行きが見えないことへの不安、自分ではこの状況をどうすることもできないという閉塞(へいそく)感、人と直接会話する機会の減少」などがあると説明。「大事な人との別れや役割を失う経験は誰にでも起こり得ることで、だからこそ誰もが自ら命を絶つ危険性を隠し持っている」と指摘した。

また、「自殺をほのめかす人は、一方で『死にたい』気持ちと闘っているのも事実」と話し、「相談を受ける立場としては自殺を止めたくなるが、結局、死を選ぶかどうかは本人にしか決められない。私たちは、相手と同じ気持ちになって、その人が死をどのように見ているのかを想像し、本心を聞き出すことに集中するしかない」と語った。

質疑応答では、参加者から「身の回りの人が心に秘めている死への思いに気づくには」「希死念慮を抱く人と長年関わっている人を、どうサポートしたらよいか」といった質問が寄せられた。村氏は「悩みを告白できない人には、その人の“いつもとは違う一面”を見逃さず、声をかけ、話し出すのを待つこと」「その人が死を選んでしまったとしても、相談を受けた人が責任を負わなくていい。話を聞く人同士が語り合う場を持つなど、相談を受ける側のケアも大切」など、具体的な対応を示した。