IARF日本チャプター 第5回SDGsセミナー

藤田事務局長は、フードバンクの活動を通じ、食品ロス、貧困、環境といった問題に取り組んでいると発表した

『“SDGsから考える食品(フード)ロス”~私たちの実践できる「食」を通した支援とは~』をテーマに、国際自由宗教連盟(IARF)日本チャプターは9月4日、第5回SDGsセミナーをオンラインで開催した。公益社団法人フードバンクかながわの藤田誠事務局長が講演した。

藤田氏は、まだ食べられるのに捨てられる食べ物(食品ロス)が、昨年日本国内で推計522万トンに上り、これは全国民が1年間、毎日茶わん1杯分の食品を廃棄したのと同量に相当すると解説。処分のための膨大な財政支出や温室効果ガスの排出は、持続可能な社会を実現する上で、「もはや『もったいない』の一言では片付けられない」問題であると述べた。

食品ロスの主な要因は外食産業における商品の売れ残り、仕込み過ぎ、食べ残しが挙げられるほか、食品の流通を巡る慣習にも課題があると指摘。製造、卸、小売の各企業が「商品の賞味期限を等分で負う」との決まりがあるため、製造から賞味期限までの期間の3分の1に満たない商品は小売店に納品されず、賞味期限を残しながらも廃棄される傾向にあると説明した。問題の解決に向け、そうした流通の慣習を緩和させる企業努力も重要であると強調した。加えて、消費者である市民一人ひとりの意識の変化も求められているとし、すぐに食べる商品は賞味期限が近いものを積極的に選ぶなどの具体的な実践が大切と述べた。

その上で、フードバンクかながわは、行き場を失った商品、個人の余剰購入品の寄付を受け付け、行政による生活困窮者への食料配布や、子ども食堂を運営する市民団体への提供など、マッチングを通じた中間支援を担っていることを紹介した。

また、厚生労働省の「2018年国民生活基礎調査」によると、日本の相対的貧困率は15.4%で、6人に1人が相対的貧困状態にあると指摘し、非正規雇用で就労する傾向にある在日外国人や学生、ひとり親世帯は、コロナ禍の影響でさらに厳しい状況に置かれていると報告。食品ロスや貧困といった社会の問題に関心を向け、家庭や職場で分かち合い、身近な実践を続けることがより良い社会の構築につながると述べ、参加者の積極的な行動に期待を寄せた。