自分の心を見つめ、今を大事に 「盂蘭盆会」で庭野会長が法話 (動画あり)

全国から寄せられた1万4191体の新仏戒名を、光祥次代会長を導師に本部職員らが奉読した

先祖の御霊(みたま)に追善回向の誠を捧げ、自らの生き方を省みるとともに、菩薩行実践の誓いを新たにする立正佼成会の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が7月15日、大聖堂(東京・杉並区)で挙行された。新型コロナウイルスの感染予防のため会員は参集せず、式典の模様がオンライン配信された(会員限定)。法話に立った庭野日鑛会長は、過去や未来を考えるのではなく、今ある一日一日を大事にする生き方が大切と説いた。

感謝を込めて生きることが先祖への供養

式典では、先祖に思いを馳(は)せ、自身のいのちに感謝を深めるナレーションプログラム「盂蘭盆会」が配信された。次いで読経供養が行われ、導師をつとめた庭野光祥次代会長と本部職員らが、全国各教会から寄せられた1万4191体の新仏(にいぼとけ)戒名を奉読。庭野会長の回向文を光祥次代会長が奏上して、焼香を行った。

式典の様子(クリックして動画再生)

続いて、体験説法に立った園浩一布教相談役は、昭和31年に入会した母親が、鉄道を乗り継いで教会道場に足しげく通っていた当時の様子を述懐した。自身は新興宗教に良い印象を抱いておらず、反発心から母親を責めたこともあったが、家族の幸せを願って真剣に修行に励む母親の思いを知り、「信仰のお手伝いをしよう」と決意。それ以来、教会活動に前向きに臨むようになったと語った。

さらに、成人後に参加した「躍進」の座談会で、庭野日敬開祖に、新日本宗教団体連合会(新宗連)の活動を通じて感じた宗教協力の素晴らしさと、新宗連の創設に尽力した庭野開祖への感謝を伝えた体験を紹介。庭野開祖から、自分だけの幸せに満足するのではなく、多くの人を仏道に導き、共に幸せになる大切さを説かれ、信仰観の大きな転機になったと述べた。

本部に入職後、教会長を歴任。布教相談役を務める現在は、コロナ禍の中でオンラインでの法座を通じて会員と触れ合う一方、町内の氏子総代などを務めていると報告した。地域の菩薩として青少年育成に励み、悩み苦しむ人に慈悲の手を差し伸べ続けることを誓った。

焼香後、法話に立った庭野会長は、“今”を真剣に生きることが大切と説いた

この後、登壇した庭野会長が焼香し、法話を述べた。この中で庭野会長は、「盂蘭盆」には「逆さ吊(づ)りの苦しみ」という意味があると説明。法縁に触れることができず、物事を逆さまに考えて苦しむ衆生や先祖を救済するのが盂蘭盆会の意義と教示した。

また、園布教相談役の体験説法に触れ、江戸期の僧侶・正受老人の「一大事と申すは、今日只今(こんにちただいま)の心なり。それを疎(おろそ)かにして翌日あることなし」と「一日(ひとひ)暮らし」という言葉を紹介。「今日(きょう)」は一生の中の一日ではなく、「今日」という一日が自分の一生涯という意味であると示し、過去を悔いたり、未来を心配したりするのではなく、自分の心を見つめながら“今”を大事にし、一日一日を真剣に生きることが大切と説いた。

さらに、贈り物を表す「Present(プレゼント)」には「現在」という意味もあると明示。その上で、「神仏から頂いた贈り物とは人間として生んで頂いたこと。父母、またご先祖さまへの感謝を込めて大事に生きていくことを通して、ご先祖さまへの供養にさせて頂きたい」と語った。

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