イラク南部の古代都市ウルで、諸宗教対話センターの建設始まる(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコは昨年3月、中東3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム)に共通する祖師・アブラハムの生誕地とされるイラク南部のウルを訪問し、紀元前21世紀頃に栄えた古代都市の遺跡を望む場所で行われた「イラク諸宗教者の集い」に出席した。
教皇はその席上、「人類友愛の実現へ向けての諸宗教対話」を説いた。この教皇によるウル訪問とイラク諸宗教者との出会いを記念し、また同国内で最も重要な考古学遺跡地域の発展を考慮に入れ、イラク政府の閣僚会議事務局は同年7月、ウルに「諸宗教対話センター」を建設することを公表していた。
イラク南部ディカル州の自治体はこのほど、ウルにイスラーム、キリスト教、ユダヤ教、サービア教の礼拝所と、諸宗教対話センターで構成される施設の建設を開始すると明らかにした。同センターは、1万平方メートルの敷地を有するという。
イラク国内の研究者や専門家たちは、諸宗教対話センターの誕生を、「多くの礼拝所が、宗教的な過激主義や狂信主義に襲われ、破壊されたイラクにあって、過去の分裂や暴力を克服していくための一致に向けた歩み」として評価している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)