本会一食平和基金運営委 ウクライナ緊急支援報告と感謝状贈呈 継続的な支援で実践の輪を広げ
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会と全国の青年部員有志による「ウクライナ一食緊急支援報告会並びにオンライン感謝状贈呈式」が6月15日夜、ウェブ会議システムを使って開催された。各教会の「一食を捧げる運動」(一食運動)実践者や青年部員ら約120人が参加した。
今年2月末に開始されたロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、同運営委員会は3月3日、ウクライナ国内や近隣諸国へ避難している人々への緊急支援として2000万円を拠出。支援金は、現地で難民・避難民の支援活動を担う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、国連世界食糧計画(国連WFP)に寄託された。侵攻から3カ月以上が経過し、ウクライナ国内の避難民は700万人以上となり、国境を越えた人の数は690万人に上る(6月1日時点)。両機関では増え続ける難民・避難民に対し、食料や生活支援物資の提供を継続している。
今回の報告会は、両機関の活動報告を受けて、ウクライナ支援についての継続的な意識啓発を図ることが目的。さらに、これまで同基金が受けてきた感謝状を、全国の一食運動実践者にオンラインを通して直接届けることで、さらなる実践の輪を広げていくことがねらいだ。
第一部では、冒頭、UNHCRからの感謝状を、国連UNHCR協会の川合雅幸事務局長が読み上げ、画面越しに見守る参加者全員に向けて授与した。次いで、同協会の事務局長特命(渉外担当)を務める中村恵氏が活動を報告した。この中で、ウクライナ避難民を含めて世界で故郷を追われた人の数が1億人を超えたと説明(5月の発表から)。これは世界人口の約1%に値する数であり、今後も国連WFPをはじめさまざまな国連機関や民間団体と協力して支援活動を行っていく必要があると語った。
続く第二部では、国連WFP協会の鈴木邦夫事務局長から感謝状の授与と活動報告が行われた。鈴木事務局長は、同機関ではこれまで中東やアフリカへの支援物資としてウクライナ産の小麦を購入してきたが、交易の要である黒海をロシア軍に封鎖されるなど、小麦の確保が困難になっている現状を解説。こうした食料や燃料価格の高騰により、エチオピアやナイジェリアなどアフリカ諸国では、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)のフェーズ5に該当する最も深刻な状況に陥る人々が出ており、今後、最大で75万人が餓死する恐れがあると話した。その上で「人を救う食料が、人を殺す武器になっている。この問題に関心を持ち、飢餓に瀕(ひん)している人々への連帯、支援を引き続きお願いしたい」と訴えた。
この後、「語り合い」の時間が持たれ、参加者と両機関のスタッフがグループに分かれて、ウクライナ支援への熱い思いや、今回の報告会での気づきを語り合った。
最後の「分かち合い」では、ウェブ会議システムのチャット機能を利用して、それぞれの思いを全体で共有。参加者からは、「一人1円でも、1億人集まれば大きな支援になる。明日から周りに声をかけていきたい」「一食実践日にウクライナ支援について学べる機会を頂き、意識が高まった」といった声が寄せられた。