核兵器禁止条約第1回締約国会議に向けて教皇がメッセージ(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコは6月21日、オーストリアのウィーンで開かれている「核兵器禁止条約第1回締約国会議」に向けてメッセージを送った。バチカン国務省外務局長(外相)のポール・リチャード・ギャラガー大司教が同会議で代読した。

教皇はメッセージの中で、「聖座(バチカン)は、核兵器から解放された世界の構築が必要であると同時に、可能であると確信している」と表明。「集団防衛システム(の構築)において、核兵器や他の大量破壊兵器の場は無い」と訴えた。

また、21世紀という多極化された世界において、平和と安全保障にまつわるさまざまな側面について考察する時、テロ、非対称紛争、サイバー安全保障、環境保全、貧困といった問題に対して効果的に対処していくために、核の抑止力がどれだけ適切であるかと疑問を呈した。「核兵器の使用が、時と空間を越えて誘発する破壊的で無差別な、抑えることのできない人道災害と環境破壊」についても警鐘を鳴らした。

さらに、「核兵器の使用のみならず、保有も非道徳であると再確認する」と述べ、「恐怖と不信に支えられ、虚偽の安全保障と“恐怖の均衡”によって安定と平和を保障しようとする試みは、諸国民間の関係を害し、真の対話に向けたあらゆる可能性を阻害する」と訴えた。最後に、広島、長崎の「ヒバクシャ」や核実験の犠牲者に思いを馳(は)せた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)