「バチカンが、ラマダンに際して『悲喜を分かち合おう』と題したメッセージを発表」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
バチカンが、ラマダンに際して『悲喜を分かち合おう』と題したメッセージを発表
バチカン諸宗教対話評議会は4月8日、イスラームのラマダン(断食月、今年は4月1日~5月1日)に際して、世界のムスリム(イスラーム教徒)に対し、『悲喜を分かち合おう』と題したメッセージを発表した。
同評議会はこの中で、新型コロナウイルスは人類の生活のあらゆる分野に悲劇を起こしたが、“分かち合う”という重要な面に改めて気づかされるきっかけになったと指摘。空気、水、食料といった自然資源、医療や薬学、科学技術の進歩と、宇宙の神秘の解明などは、「私たちが分かち合うべき、神からの贈り物である」と主張した。それゆえに、人類は、神の恩恵と寛大さに感謝すると同時に、その賜物(たまもの)を必要としている兄弟姉妹たちと分かち合っていかなければならないと訴えた。
現在、同ウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって貧困に陥る人々、失業など経済的、社会的な問題を抱える人々との分かち合いが、緊急かつ大きな課題として噴出していると指摘。「分かち合いの最良の形は、他者の感情の素直な理解と慈しみの実践にある」とし、分かち合いとは物質的な側面だけではなく、「互いの喜びと悲しみをも分かち合うこと」と示した。
さらに、自らの親戚、友人、隣人、加えて自身と異なる宗教の信徒の喜びや悲しみに触れた時、「分かち合いの態度と精神を持って臨むことが重要」と述べた。そうした姿勢で臨む信仰者にとって、「異なる宗教の主要な宗教的祝日」は特別な喜びの機会となる。また、身近な人々の関係においては、新生児の誕生、病気からの回復、学業や仕事での成功、旅からの無事な帰還なども喜びの対象になると伝えた。
分かち合う悲しみとしては、家族や友人などの死や病、失業、ビジネスでの失敗、家庭不和などが挙げられるとし、「私たちは、喜びを味わっている時や平和の時よりも、危機や悲しみに直面している時に、寄り添いや支え合いの必要性を強く感じるのは当然のこと」と訴えた。
そして、「神の愛は、あらゆる人々と全宇宙を抱擁するものである。だから私たちも、隣人と友人の喜び、悲しみを分かち合い続けていこう」と呼びかけ、メッセージを結んでいる。