〈ひと〉ACRP事務総長に就任した篠原祥哲さん(50)

昨年10月、東京で開催されたアジア宗教者平和会議(ACRP)の第9回大会で、事務総長に選任された。日本人として4人目の就任で、現在務める世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会事務局長との兼任になる。「宗教者の立場でアジアに山積する諸問題の解決を目指し、全身全霊を傾けて役を果たしていきたい」と情熱をたぎらせる。

立正佼成会本部の外務部(当時)を経て、2005年から同日本委に勤務。宗教協力による核廃絶や軍縮、人道支援、災害復興支援などに取り組んできた。東日本大震災の際には、地域に根差した継続的な支援を行うために設けられた仙台事務所の所長を任された。約5年間、被災者の声に耳を傾けるとともに、地域で被災者支援活動を続ける諸団体の調査や援助にあたった。

17年から東京大学大学院で学び、『災害後の回復力とコミュニティ・エンパワメント:福島の復興における「顔の見えるコミュニティづくり」の意義』と題したた論文で昨春、博士号を取得。優れた業績を挙げた学生に与えられる「一高記念賞」を受賞した。

ACRPは現在、「フラッグシップ・プロジェクト(重点実施事業)」として、人身取引の防止、平和構築と和解、環境問題など、アジア地域が抱える喫緊の課題に対する五つの取り組みを推進する。同日本委も参画しており、「ACRPと日本委員会、両方の立場から責任感を持って事業を進めたい」と語る。

大学2年生の時、庭野日敬開祖を囲んでの座談会に参加した。WCRP/RfP創設時の話題になり、庭野開祖から、「やると決意したら、神仏が必ず助けてくれる」との言葉を贈られた。以来、人生の指針にしてきた。

「アジアの宗教者と思いを分かち合い、ACRPが人々に希望を与える存在になれるよう努力したい」。高校時代にサッカー部で培った「諦めない」「全力に悔いなし」というマインドを胸に前を見続ける。